研究
「欧州殊にロシアに於ける東洋研究史ウエ・バルトリド著・外務省調査部訳」というのに視線が止まった。その下に、注として「書込あり」という活字がある。....小説の軸は、この70文字程度で決まっている。1869年ペテルブルグ(現在のレニングラード)の記述が懐かしいのも時代の流れか?。いつもながら書き出しの中に、さり気なく小説の骨が埋められている。いきなり事件から始まる場合もあれば、書き出しの300文字程度では主題に全くふれない場合もある。オーソドックスなスタイルであろう今回の書き出しは、好き嫌いで言えば、好きな方である。完読した結果からの感想になるため、どうしても先読みになるが、題名との関連から、ある予感を読者に提供しながら読ませる効果があるように思える。
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