【紹介作品・研究室の倉庫】
2003年07月07日
清張の作品の書き出し300文字前後で独善的研究!。
紹介No 014 【怖妻の棺】1957年 「週刊朝日別冊」 非番なので遅く起きた戸村兵馬は、朝飯とも昼飯ともつかぬ食膳を終わって庭に下りた。秋のおだやかな陽が、うす紅くなった葉の上に溜まっている。......◎蔵書◎松本清張全集 37 装飾評伝・短編3●1973年2月20日(初版)より
研究
兵馬にとっては穏やかな休日の午前である。庭の情景をゆっくりと伝える描写はさすがである。「誰だな?」「香月様からのお使いでございます」そして、弥右衛門の外泊が知らされる。弥右衛門の妻からの使いで来た使者に咄嗟の返事が出来ない兵馬。怖妻の棺とは何か?。外泊の朝すぐに使者を向ける弥右衛門の妻はよくできた妻なのか?咄嗟に返事をしなかったのか、出来なかったのか、兵馬の胸の内は、弥右衛門の恐妻振りと関係がありそうだ。「怖妻」は広辞苑にもない。恐怖の妻なのか、どうやら怖妻は弥右衛門の妻らしい。