研究室_蛇足的研究

紹介作品・研究室の倉庫

2002年11月11日

清張の作品の書き出し300文字前後で独善的研究!。


研究作品 No_011

 【駆ける男


紹介No 011

【駆ける男】1973年 「オール讀物」

蒐集狂というのは、精神分析の分野では、たぶんパラノイア(偏執狂)の分類にはいるのかもしれない。......◎蔵書◎「馬を売る女」文藝春秋●1977年9月30日(初版)より

蒐集狂というのは、精神分析の分野では、たぶんパラノイア(偏執狂)の分類にはいるのかもしれない。だが、この概念はその蒐集の対象によるもののようである。絵画とか骨董品とかをいくら蒐集してもコレクターとしての尊敬は受けてもマニアとはよばれない。玩具、器具などの民芸品の類もそうである。ところが一般的にいって何ら価値のないもの、集めてみたいという欲望がさらさら起こらない詰まらない品を努力して蒐集するとなると、マニアと称される資格を生むようである。たとえば、他人の履き古した杉下駄だとかスリッパだとか寝巻きの紐だとか灰皿の類を集めたとなると、蒐集狂の分類に入れられそうでである。入手方法が金銭で購うのではなく、多少とも非合法手段によるとなると、なおさらであろう。 

研究

蒐集狂の説明で書き出しは終わっている。落語でいう、枕なのか?。伏線のための振りなのか?。主人公は、「たぶんパラノイア(偏執狂)の分類にはいるのかもしれない。」。ある程度の長さの作品では作品の骨組みになる出来事、登場人物の個性、作品の大道具、などを説明的に初めに読者に知らせる事がある。おそらく、この作品もそうであろう。

(出だしの状況とかなり違ってくる。蒐集狂は単なる小道具)