【紹介作品・研究室の倉庫】
2002年03月29日
清張の作品の書き出し300文字前後で独善的研究!。
紹介No 008 【余生の幅】1966年 「文藝春秋」 文吉が急に弱りはじめたのは、留守に本妻の梅子が戻ってからだった。......◎蔵書◎「延命の負債」角川文庫1987年6月25日(初版)より
研究
本妻というからには妾の存在があるはずだ。40代で財産を持った男には当然女である?衰弱の原因が本妻梅子である。「留守に戻った」が誰の留守に、なのか?また、「戻った」とは、誰がどこからどこへ「戻ったのか」曖昧である。当然読み進めば理解できるのであるが、導入部としては説明不足である。さて、寝たきりの老人「文吉」は、息子は、まだ登場しない「妾」は、いつもながら登場人物は市井の人々である。題名の余生の幅とは誰のものなのか?書き出しだけでは「文吉」の余生か?