紹介作品 No_017  【喪失


紹介No 017

【喪失】1956年 「新潮」

男も女も職業をもっていた。田代二郎は運送会社の会計係を勤めて一万五千円を貰う。この月給で妻と子ひとりを養っていた。。......◎蔵書◎青春の彷徨「喪失」(株)光文社 ●1978/12/20(7版)より

登場人物は少ない。

>男も女も職業をもっていた。田代二郎は運送会社の会計係を勤めて一万五千円を貰う。この月給で妻と>子ひとりを養っていた。桑島あさ子は小さな製薬会社の事務員として八千円の給料をとっていた。

田代二郎・桑島あさ子そして、須田である。

愛人関係にある、あさ子と田代の妻や子との関係かと思わせる書き出しであるが、あさ子の新しい就職先

の銀行の外務員である須田が三角関係的に絡む。

当時(1950年代)の銀行、と言っても相互銀行だが。その実体が背景にある。

須田のあさ子に寄せる好意が実体としてあさ子の生活を支える結果になる。

田代はあさ子の男であっても経済力はない。

はじめは、あさ子と須田の関係を面白がって聞いていだが、

それは嫉妬になるのに時間はかからなかった。その嫉妬は、今日的に言えばストーカー的行動になる。

あさ子と田代の関係は、須田のことを嫉妬する田代の行動を通じて性的にも執拗に描かれている。

須田の好意は、もちろん目的を持っていた。酔いに紛らわせたようにして、あさ子のアパートに来た須田は

その目的を達しようとする。

修羅場が来る。異常とも思える田代の行動は、あさ子を独身と思っていた須田に知るところになる。

>ついに恐れていたとおりになった。生活が逃げた。桑島あさ子は足の力が抜けた。

喪失、それはあさ子の生活だった。

事件は何も起きない。田代とその家族がまるで描かれてない、短編なので切り落としてあるのだろうか。

日常の積み重ねで修羅場を迎える。喪失後には何が来るのだろう。

喪失後も、清張の小説のテーマになるのではないだろうか。

2004年02月01日 記

登場人物

田代 二郎 妻子持ち。28歳
桑島 あさ子 田代二郎の愛人。5年前夫と死別。子供が居るが、田舎の母に預けている。28歳。
須田 桑島あさ子に好意を寄せる銀行の外務員。57〜58歳。

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