題名 | 武士くずれ | |
読み | ブシクズレ | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 五十四万石の嘘■【蔵書No0199】 | |
出版社 | 中央公論社 | |
本のサイズ | 文庫(中公文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1980/06/10●8版1986/09/20 | |
価格 | 280/古本 59(税5%込み)+送料340 | |
発表雑誌/発表場所 | 「キング」 | |
作品発表 年月日 | 1955年(昭和30年)2月 | |
コードNo | 19550200-00000000 | |
書き出し | 豊前小倉三十二万石小笠原大膳太夫忠固は他に道楽はなかったが、将棋が好きであった。暇さえあれば、盤面を持ち出させて、侍臣を相手に指していた。この頃では上達して、そのお相手を出来る者も少なくなった。その家臣にも、それぞれ勤務があるから、当直の夜でもない限り、むやみと呼び出して相手を申しつける訳にはいかなかった。百二十石馬廻役梶井喜代次は、その少ない将棋お相手の一人であった。その上、忠固と棋力が伯仲し、しかも盤面に向かうといつの間にか熱中して遠慮しない方であるから、忠固からすれば一番面白い好敵手であった。二人は朝から指しはじめると、深更になるまで夢中になった。忠固は負けると「いま一番。もう一番」と、対手を立たさないのである。そうなると、政務の決裁も家老の上申も、放り出して、「あとでする。あとで聴く」と言って番側から離れない。忠固は喜代次と五日も将棋を指さないと、もう堪らなかった。「喜代次を呼べ」すぐに迎えにやらせた。 | |
作品分類 | 小説(短編・時代) | 24P×580=13920 |
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