題名 | 権妻 | |
読み | ゴンサイ | |
原題/改題/副題/備考 | ※権妻(ごんさいと読む:めかけ) | |
本の題名 | 西郷札 傑作短編集(三)■【蔵書No0198】 | |
出版社 | (株)新潮社 | |
本のサイズ | 文庫(新潮文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1965/11/25●35版1992/09/05 | |
価格 | 350/古本 9(税5%込み)+送料340 | |
発表雑誌/発表場所 | 「オール讀物」 | |
作品発表 年月日 | 1953年(昭和28年)9月号 | |
コードNo | 19530900-00000000 | |
書き出し | 女が妊娠したというので、杉野綾部の顔色が変わった。うかつだったが、思ってもみなかったことである。妻のけわしい顔がすぐ眼の前に浮かんだ。「ほんとうか」と思わず声まで変わった。確かだと女は言うのである。羞じらいで顔は真っ赤に血がのぼっていたが眼の色は真剣であった。きいてみて四ヵ月に近いというので綾部は息をのんだ。女はつねといって士分の女房であったが夫とは一年暮らしてただけで先立たれ。国もとから出てきて京の親戚の家にいるうち綾部と知りあったのである。困惑が綾部の顔いっぱいを占めた。悪いことに京都勤番の自分のもとへ妻が江戸から到着したばかりのところであっjた。家つきの娘で、他家から養子になった綾部は小糠三合まではないにしても、やはり妻は日ごろから扱いにくい重たい存在であった。妻が知ったら何としよう。それを考えると彼は眼の前が真っ暗になる思いであった。 | |
作品分類 | 小説(短編・時代) | 27P×580=15660 |
検索キーワード | 権妻(めかけ) |