題名A | 蓆 |
読み | ムシロ |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)光文社=松本清張短編全集4 殺意〕 |
本の題名 | 五十四万石の嘘■【蔵書No0199】 |
出版社 | 中央公論社 |
本のサイズ | 文庫(中公文庫) |
初版&購入版.年月日 | 1980/06/10●8版1986/09/20 |
価格 | 280/古本 59(税5%込み)+送料340 |
発表雑誌/発表場所 | 「小説新潮」 |
作品発表 年月日 | 1956年(昭和31年)11月号 |
コードNo | 19561100-00000000 |
書き出し | 江戸より九十六里、美濃国郡上郡八幡の領主、三万八千石の金森出雲守は、その年四月、帰国の途についた。一年の在府は、短いようで長かった。去年、参府のお供をして出府した家中の侍は、今また帰国の供をしている。彼らは数日後には、久しぶりに対面する家族のことを考えながら、軽やかな足を運んでいた。その中で、富高与一郎だけは気分が石を詰め込んだように鬱いでいた。彼はできることなら、主君が来年出府して、再来年、帰国なさるときにお供をしたかった。つまり、もう二年、江戸に居残っていたかった。だが、納戸役二十五石五人扶持の彼が、そのような気ままを願い出ても、絶対、ゆるされるはずはなかった。もともと、彼が江戸に出てきただけでも、一種の恩恵であった。それは、四囲、山に囲まれた郡上で生活している国侍に、一度は江戸の繁華を見せてやろうという主君の心づかいからだった。 |
作品分類 | 小説(短編・時代) |
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