題名 | 通過する客 | |
読み | ツウカスルキャク | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 虚線の下絵■【蔵書No0139】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | 文庫(文春文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1979/08/25●初版 | |
価格 | 260/古本 130(税5%込み) | |
発表雑誌/発表場所 | 「別冊文藝春秋」107号 | |
作品発表 年月日 | 1969年(昭和44年)3月 | |
コードNo | 19690300-00000000 | |
書き出し | 少し大げさにいうと、妻と夫の性格の不一致は古来しばしば小説や劇のテーマとなるように、実際の上でもそれが原因として大事にいたることがある。しかし、それだけが原因で破局をひき起こす率はない。妻としての権利が認められ、周囲への気がねや非難の考慮が減少した現在でも、性格の不一致というだけで離婚にまで発展する例はまだ珍しいのである。妻の側からいえば、取り立てていうことがないだけに、その抑制と忍耐によって、ぎりぎりまでは、なるべく世間にボロを出さないようにし、隣近所に向かって微笑を向けているのが多いからだろう。夫が妻に不満を弾圧するが、反撥してくるかするなら、まだ妻はその手応えによって生き甲斐を感じるだろうが、そうでなく、夫が寛容で、愛情があり、何の反応も見せない場合、妻は苛立ちで日を送るだけである。この場合の夫の愛情は荷厄介としか受取らない。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 52P×580=30160 |
検索キーワード |