| 題名 | 首相官邸 | |
| 読み | シュショウカンテイ | |
| 原題／改題／副題／備考 | ||
| 本の題名 | 虚線の下絵■【蔵書Ｎｏ０１３９】 | |
| 出版社 | （株）文藝春秋 | |
| 本のサイズ | 文庫（文春文庫） | |
| 初版＆購入版．年月日 | 1979/08/25●初版 | |
| 価格 | 260／古本 130（税５％込み） | |
| 発表雑誌／発表場所 | 「文藝春秋」 | |
| 作品発表 年月日 | 1969年（昭和44年）8月号 | |
| コードNo | 19690800-00000000 | |
| 書き出し | 医務室での診断は午前九時にはじまって十一時半に終わる。受診患者が多くても少なくても毎日この時間は守られた。多ければ軍医は速く診るし、少なければていねいに診る。舎前で日朝点呼があり、中隊週番士官の短い（長いのもある）訓示が終わると、週番下士官が整列の兵に向い、診断を受けたいものは申出ろ、という。食事の終わった各中隊の兵が、赤筋の腕章を捲いた週番上等兵に引率され、聯兵の西南側にある横長い建物の医務室にだらだら坂を下ってくる姿を見るのは九時十分前だった。診察室は広くて寒かった。ダルマストーブが間隔を置いて三つあるが、軍医用のものだった。指先が冷たくては打診ができない。軍医の前で半裸になって腰をかける患者兵だけがつかの間の恩恵をうけた。 | |
| 作品分類 | 小説（短編） | ５９Ｐ×５８０＝３４２２０ |
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