松本清張_犯罪の回送(改題)

(原題=対曲線)

題名 犯罪の回送
読み ハンザイノカイソウ
原題/改題/副題/備考 (原題=対曲線)
本の題名 犯罪の回送【蔵書No0194】
出版社 (株)角川書店
本のサイズ 文庫(角川文庫)
初版&購入版.年月日 1994/10/10●15版2004/02/10
価格 540+税(5%)
発表雑誌/発表場所 『小説新潮』
作品発表 年月日 1962年(昭和37年)1月号〜1963年(昭和38年)1月号
コードNo 19620100-19630100
書き出し 失踪
北浦市市長春田英雄は、十一月九日の寝台特急「北斗星2号」で東京に向かった。一行は、市長のほか建設委員の議員が四名、市長秘書一名、市議会事務局員一名が随行した。便利な旅客機を利用しなかったのは経費節減のためである。この市の財政も豊かではない。北浦市は北海道の南西部にある。南部は太平洋に面しているが、大小の沼や湿地帯が点在する、決して恵まれたとはいえない立地条件である。北海道の政治経済の中枢である札幌から出ている支線に乗って、約一時間半かかる。北浦市は、往昔、イワシ漁の基地として繁盛した記録もあり、高度経済成長期には北海道を代表する港湾都市として活況を呈したこともあったが、造船不況の吹き荒れたあとの今ではさしたる産業も持たず、衰徴した地方都市として残っている。車内での春田市長の様子は別に変わったことはなかった。機嫌も悪くない。列車に乗ったときは、日が昏れていなかったので、市長はほかの議員と一緒に座席に腰を下ろして、しばらく談笑をつづけていた。市長として当選二期目の春田英雄は、この市で造り酒屋を経営している。
作品分類 小説(長編) 330P×510=168300
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【カバー】北海道の北浦市市長春田は陳情上京中に失踪、数日後に武蔵野林で絞死体となって発見される。捜査陣は、政敵早川議員に疑いを向けるが、直後早川の溺死体が地元の沖合に浮かび、事件は予想外の展開をみせる。地域開発としての埋め立て計画を契機に、それぞれの愛憎が北海道−−東京間を行き交う、スリリングな傑作長編ミステリー。