題名 | 「静雲閣」覚書 | |
読み | 「セイウンカク」オボエガキ | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 突風■【蔵書No0037】 | |
出版社 | 中央公論新社 | |
本のサイズ | 文庫(中公文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1974/03/10●28版2002/06/25 | |
価格 | 571+税(5%) | |
発表雑誌/発表場所 | 「週刊朝日別冊」 | |
作品発表 年月日 | 1953年(昭和28年)9月号 | |
コードNo | 19530900-00000000 | |
書き出し | 二人の老人が駅のホームに立っていた。佗しい、活気のない駅である。そこに汽車を待っている人は数人だった。僅か数人というのは今度の汽車が下り急行だからだ。二人の老人はあまり話も交わさず、不機嫌に落ち着かない様子で立っていた。汽車が辷りこんでくる数分前の不安定な空気があたりに揺れていた。針金の輪を肩に入れた駅の助役がホームを歩いてきた。二人の老人をみると、笑みを浮かべて怠惰な敬礼をした。「お出迎えですか?」「はア」老人に一人がうけた。頭は真白で、鶴のように痩せていた。古い高貴な洋服が似合った。「どなたか−−?」「いや、ちょっと」頭の禿げた老人が返事を代った。羽織、袴をつけている。滅多なことは云わない、という顔つきだった。助役はそこで詮索の挨拶を止めて持場の位置へ去った。黄色く色づいた稲田の涯に、進行してくる汽車の姿を見たからであろう。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 28P×640=17920 |
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