松本清張_黒い血の女

題名 黒い血の女
読み クロイチノオンナ
原題/改題/副題/備考 【重複】〔(株)角川書店=潜在光景(角川ホラー文庫)〕
本の題名 突風【蔵書No0037】
出版社 中央公論新社
本のサイズ 文庫(中公文庫)
初版&購入版.年月日 1974/03/10●28版2002/06/25
価格 571+税(5%)
発表雑誌/発表場所 「オール讀物」
作品発表 年月日 1959年(昭和34年)10月号
コードNo 19591000-00000000
書き出し 和歌山県海草郡初島町(現在人口五千4百)は、新町制度の名前で、もとは椒村(はじかみむら)と云った。今の海南市と有田市に挟まれ、紀伊水道に面した村である。椒村は、椒浜と椒里とに分かれている。椒里は、百メートルばかりの丘陵に囲まれ、この傾斜地は蜜柑畑になっている。椒浜は、海岸沿いで、漁民が多い。つまり、この村は、半農半漁で、その農業も柑橘の経営が殆どであった。そのほか、米や繭などがあるが、云うに足りない。蜜柑畑の段丘を背にしたこの村の海岸の眺めは美しい。もともとリアス式の地形なのだ。湾曲した浜砂と、刈藻島とよぶ突き出た小さな半島と、沖には地ノ島、沖ノ島の二つの島影が泛ぶ。変化の多い海岸の出入りはツブネ鼻とか、観音崎とか、宮崎鼻などの岬が、海へ剣のように出ていた。碧い海と、オリーブ色の丘と、それに秋になれば黄色くなった蜜柑に、椒村は囲まれているのであった。−−
作品分類 小説(短編) 48P×640=30720
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