題名 | 金庫 | |
読み | キンコ | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 突風■【蔵書No0037】 | |
出版社 | 中央公論新社 | |
本のサイズ | 文庫(中公文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1974/03/10●28版2002/06/25 | |
価格 | 571+税(5%) | |
発表雑誌/発表場所 | 「小説新潮」 | |
作品発表 年月日 | 1957年(昭和32年)1月号 | |
コードNo | 19570100-00000000 | |
書き出し | そのとき、私はひどくつまらない生活をしていました。東京から汽車で二時間ばかりのC市で、運送会社の事務員をしていたのです。仕事は忙しいばかりで、その内容は、扱っている荷物のように、埃だらけで雑然としていました。私は日に日に、何千何百個と到着しては何処かに送られてゆく荷物の山を見ていると、恰も自分の仕事の象徴だと思いました。物そのものに色彩が無く、埃や繩屑を汚らしく撒いて、移動するばかりで、少しも落ち着くことがありません。残るということが、何も無いのです。私は荒縄をかけた木箱や菰包みを見ると、気持ちが苛立って、どうにも仕方のないやるせなさを感じるのでした。それに月給が高かったら少しはましかもしれませんが、これが大そう安いのです。ここの店主は、月給が安いと思う人は遠慮なく辞めてくれ、と日頃から従業員に宣言するし、労組を作る気配があろうものなら、忽ちその首謀者を馘にするのでした。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 30P×640=13800 |
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