松本清張_晩景

題名 晩景
読み バンケイ
原題/改題/副題/備考 【重複】〔(株)文藝春秋=ベイルート情報(文春文庫)〕
本の題名 松本清張全集 38 皿倉学説・短編4【蔵書No0137】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通) 
初版&購入版.年月日 1974/07/05●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「別冊文藝春秋」89号
作品発表 年月日 1964年(昭和39年)9月
コードNo 19640900-00000000
書き出し 朝の白々とした陽が狭い庭の南天の葉に注いで、今日も底冷えがする。俺はシャツをハンガーからはずしたが、皺が寄っているうえに汗臭い。こんなものを着ては人の前には出られないと思い、押入をあけたが、代わりのシャツが無かった。「康子」と嫁を呼ぶと、返事はするが、なかなかやってこない。茶碗の音と、子供の声がするから、飯を食わせているのだろう。このぶんでは待っていてもいつくるか分からないので茶の間をのぞくと、七つになる一雄と食卓に座っていた。「新しいシャツを出しておくれ」一雄が飯粒を散らした卓袱台の前から、「おじいちゃん、どこへいくの?)と顔を向けた。「ああ、裁判所に行ってくる」「今日もサイバンシュ?いつまで行くの?」「ああ、いつまで行くのか、おじいちゃんにも分からんな」康子は黙って飯を口に運んでいる。その茶碗が空になるまで待たせるらしい。
作品分類 小説(短編) 27P×1000=27000
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