松本清張_老春

題名 老春
読み ロウシュン
原題/改題/副題/備考  
本の題名 松本清張全集 38 皿倉学説・短編4【蔵書No0137】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通) 
初版&購入版.年月日 1974/07/05●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「新潮」
作品発表 年月日 1961年(昭和36年)11月号
コードNo 19611100-00000000
書き出し 栄造は、産地から送られてきた桶の荷を解いていた。鉈で縄の結び目を切り、包んだ蓆を剥ぐ。眼をしかめ、顔に附いたゴミを手の甲で拭く。汗の出た皮膚に藁屑がべたべた附いている。女房の比佐子は、小売り屋が買いに来た棕櫚縄を秤にかけている。小僧の光男はオート三輪に乗って得意先へ配達に出かけた。先ほどから、食器問屋の外交員がトランクを開けて、フォークやナイフなどの見本をひろげたままだった。外交員は新潟の燕という土地から出張して来ている。彼は上がり框に腰を掛け、煙草を吸いながら、栄造夫婦の手の空くのを待っていた。この小さな雑貨問屋には次々と客が入って来て、栄造も、比佐子も、そのほうの用事に先にかかる。外交員はいつまでも待たされ放しだった。いらいらしている気持ちを抑えている顔つきがよく分かる。
作品分類 小説(短編) 22P×1000=22000
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