題名 | 誤差 | |
読み | ゴサ | |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)新潮社=(駅路) 傑作集短編(六)〕 | |
本の題名 | 松本清張全集 37 装飾評伝・短編3■【蔵書No0136】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1973/07/20●初版 | |
価格 | 1200 | |
発表雑誌/発表場所 | 「サンデー毎日特別号」 | |
作品発表 年月日 | 1960年(昭和35年)10月 | |
コードNo | 19601000-00000000 | |
書き出し | 宿は六軒ぐらいだった。東海道線から私鉄で二時間ばかり山奥に入る湯治場である。地形の不便の故か、それと温泉でなく鉱泉であるためか、都会地からはあまり顧みられなかった。すぐ近くに、仏法僧の生息地としても有名な霊地があり、時たま、そこに参詣した人が帰りがけに立ち寄るくらいのものだった。尤も、晩秋には、このH鉱泉を取り巻く渓谷が紅葉に彩られるので、その見物客が寄って、少し賑わう。滞在している者の半分は自炊の湯治客で、地方の農家から来る者が多かった。宿の二階でも、客が煮炊きの支度をしており、廊下で七輪の下を扇いでいる様子が見られた。この風景は、田舎温泉の特色を現していた。宿の建物はみな古い。六軒の宿のうち、一番大きくてきれいなのは、川田屋であった。ここも自炊客を置かないではなかったが、それは旧館の方で、五、六年前建てた新館は、普通の滞在客を主にしていた。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 16P×1000=16000 |
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