題名 | 拐帯行 | |
読み | カイタイコウ | |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)光文社=危険な斜面(KAPPANOVELS)〕 【重複】〔(株)新潮社=黒地の絵/傑作短編集(二)(新潮文庫)〕 |
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本の題名 | 松本清張全集 37 装飾評伝・短編3■【蔵書No0136】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1973/2/20●初版 | |
価格 | 1200 | |
発表雑誌/発表場所 | 「日本」 | |
作品発表 年月日 | 1958年(昭和33年)2月号 | |
コードNo | 19580200-00000000 | |
書き出し | 森村隆志は外から会社に帰ってきた。事務所はビルの内にあった。廊下を歩いていると、硝子戸に幕を下ろしているよその事務所がいくつか目についた。今日は土曜日である。三時過ぎた今は、昼までで帰った会社が多い。隆志は自分の事務所のドアを押した。ここはまだ社員が居残っている。それだけに小さな会社だなと土曜日になると彼はいつも思うのだ。ドアが開くと同時に、熱気が顔に当った。外はもうオーバーが重たくなったのに、ストーブを相変わらず焚いている。スチームの設備の無いビルだった。社員が四、五人、ストーブを囲んで懶惰な恰好で腰かけていたが、森村隆志の顔を見て、お帰り、と云った。隆志はオーバーを脱ぎ、手提鞄をもって会計のところに歩いて行った。会計部は腰までの板で仕切られ、開き戸がついている。現金の取扱のため、一般の机から隔離された、檻のようであった。檻の中では、頭の毛の薄い会計主任が背を屈めて新聞を見ていた。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 15P×1000=15000 |
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