題名B | 二階 |
読み | ニカイ |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集37〕 【重複】〔(株)光文社=危険な斜面(KAPPANOVELS)〕 |
本の題名 | 黒地の絵/傑作短編集(二)■【蔵書No0223】 |
出版社 | (株)新潮社 |
本のサイズ | 文庫(新潮文庫) |
初版&購入版.年月日 | 2010/01/15●56版 |
価格 | 700(本体667円) |
発表雑誌/発表場所 | 「婦人朝日」 |
作品発表 年月日 | 1958年(昭和33年)1月号 |
コードNo | 19580100-00000000 |
書き出し | 竹沢英二は、二年近く療養所にいたが、病状はいっこうに快くならなかった。入所患者に勧められ、俳句雑誌に投稿したりして、一時期、句作に熱中したこともあったが、近ごろはそれも飽いてきた。回復の希望が薄れてくると、療養生活には倦怠と絶望を感じるばかりである。療養所は、海近くの松林の中にあったが、東京から二時間を要する。幸子は、月二回ここを訪れた。一日と十五日。これは家業の印刷屋の休日であった。「どうだ、商売のほうは?」英二は妻の顔を見ると最初にきいた。十年も経営してきたのだから、気づかうのは無理もなかった。幸子は営業成績を数字にメモしたもので見せた。売上げ掛金から、紙代、インキ代、活字代、機械の償却費、修理代、外交員一人、職人五人、小僧二人の給料、雑費、それらを差し引いたのが生活費と英二の療養費である。 |
作品分類 | 小説(短編) |
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