題名 | 背広服の変死者 | |
読み | セビロフクノヘンシシャ | |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)双葉社=月光〈双葉文庫)〕 | |
本の題名 | 松本清張全集 36 地方紙を買う女・短編2■【蔵書No0086】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1973/2/20●初版 | |
価格 | 880 | |
発表雑誌/発表場所 | 「文學界」 | |
作品発表 年月日 | 1956年(昭和31年)7月号 | |
コードNo | 19560700-00000000 | |
書き出し | 私は明日死ぬつもりである。線路にとび込むか、薬を嚥むか、首を縊るか、未だどれとも決めていないが、とに角、明日決行しようと思う。自殺の方法はいずれにしても、私は一切身許の知れる遺留品は残さぬことにする。名刺の入った定期入れはもとより、ポケットに入っている古領収書や紙ぎれの類、万年筆、煙草ケース、ハンカチなどはみな捨てるか焼いてしまう。勿論、上衣のネームや、ワイシャツについた洗濯屋の縫付けなどもとってしまう。その一部はもう実行している。要するに私はどこの何者とも知れぬ変死体となることを希望する。その理由の一つは、私の死亡をすぐに確認されたくないからだ。少なくとも私の勤めている社には私の死んだことを知って貰いたくない。そうすれば当分は私の月々の給料は家族に渡るであろう。半年か一年間は、それによって食いつなぐことが出来る。これがせめてもの妻子への私の情けない心づかいである。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 10P×1000=10000 |
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