松本清張_腹中の敵

題名 腹中の敵
読み フクチュウノテキ
原題/改題/副題/備考     
本の題名 松本清張全集 35 或る「小倉日記」伝・短編1【蔵書No0106】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通) 
初版&購入版.年月日 1972/2/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「小説新潮」
作品発表 年月日 1955年(昭和30年)8月号
コードNo 19650800-00000000
書き出し 天正二年の元旦、織田信長が岐阜城に在って諸将の賀をうけたことがある。酒宴には入って興がすすんだ時、信長が口を切った。「これより皆に佳き肴を振舞うぞ。これで存分に過してくれ」一同、どんな料理が出るかと思っていると、信長が運ばせたのは塩漬けにした三つの首であった。容相に変化がきているが、紛うことなき朝倉義景、浅井久政、浅井長政の首級である。「どうじゃ、珍奇な肴であろう」と信長は面白そうに皆を見渡した。それに応えて誰かが、「これは一段の御趣向」と云うのをきっかけに、みなは手を拍って座を沸かせた。前年の秋に信長は浅井、朝倉を討った。三年前に金ヶ崎を敗退して以来の宿題であった。そればかりでなく、鳥雄信玄は病死し、将軍義昭は奔り、佐々木、三好の徒が亡んだ。去年は彼にとってよいことばかりの年であった。今年こそ天下を望む年である。
作品分類 小説(短編・時代) 14P×1000=14000
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