題名 | 特技 | |
読み | トクギ | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 松本清張全集 35 或る「小倉日記」伝・短編1■【蔵書No0106】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1972/2/20●初版 | |
価格 | 880 | |
発表雑誌/発表場所 | 「新潮」 | |
作品発表 年月日 | 1955年(昭和30年)5月号 | |
コードNo | 19550500-19670300 | |
書き出し | 一五四三年日本に鉄砲が伝来してより三十数年を経て、射撃の名手が現われた。丹後田辺の人というが、出生の年月は詳かでない。稲富伊賀直家というのが、その男の名であった。彼の天才的な技倆については、いろいろなことを諸書が伝えている。たとえば、家の上に鳥の声がするのを聞いて、家の内から、その姿も見ずに撃つと、忽ち鳥は地に墜ちたという。手拭いで眼をかくしして的を射るくるくらいは容易なことであった。針の先に虱を突き刺し、そのまま針を吊り下げておいて、遠くから虱を狙い打ちしたくらいであった。このようなことは、当時、世間に高かった噂をそのまま書き留めたものである。噂は勿論誇張されたものであったにせよ、直家の技は諸士の間に、充分尊敬に粉飾されて語りひろめたに違いない。直家は、はじめ丹後の一色氏の家臣であったが、主家に従って細川藤孝に降ったのである。藤孝は直家が稀有の鉄砲うちの名人である理由で厚遇した。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 10P×1000=10000 |
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