松本清張_象徴の設計

題名 象徴の設計
読み ショウチョウノセッケイ
原題/改題/副題/備考 備考=冒頭、〔明治十一年四月十三日・東京日日〕を引用
本の題名 松本清張全集 17 北の詩人・象徴の設計【蔵書No0098】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1974/01/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「文藝」
作品発表 年月日 1962年(昭和37年)3月号〜1963年(昭和38年)6月号
書き出し 改代町は古着屋が多い。山手辺で改代町といえば、すぐに古着屋とうなずかれた。清田屋、田丸屋、遠州屋、丸木屋、伊勢屋、小泉屋、富田屋、松木屋などといった屋号を暖簾に染めた店が、南赤城坂下から北服部坂下、古川橋に向かって両側に十数件、軒を連ねていた。中には田丸屋のように、土蔵造りの一構えを持って質屋を兼業したものもある。そのなかで、小さな店だが藤川屋というのがあった。当主は津丸藤兵衛といって、三十二,三の、色の浅黒い、眼つきの精悍な男だった。言葉は商人らしく如才がないが、どことなく武張ったところがある。あれは上州辺の士族であろうと近所では噂していた。藤川屋がこの古着屋の町と少し離れて紋描き屋の隣りに店を構えたのは、二年前だった。店はさして繁昌しているというほどではないが、それでも表から中にかけて暗くなるほど着物が掛けられてある。亭主は一日中店に座っていることもあり、また、二十七,八くらいの痩せた女房が代わりをしていることもある。
作品分類 小説(長編) 159P×1000=159000
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