松本清張_棲息分布

題名 棲息分布
読み セイソクブンプ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 棲息分布【蔵書No0067】
出版社 (株)講談社
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1977/04/28●初版
価格 980
発表雑誌/発表場所 「週刊現代」
作品発表 年月日 1966年(昭和41年)1月1日号〜1967年(昭和42年)2月16日号
コードNo 19660101-19670216
書き出し 東洋鉄鋼株式会社会長の菅沼丑平の死際は、その生涯にふさわしく華麗なものであった。人間の死はよくその生涯の経歴と照応されるが、彼こそはまさにその適例であった。菅沼丑平は、七十四歳の生涯の前半で、ほとんど無一物から財をなす基礎をきずいた。それが大成したのは、鉄鋼界が戦後急速に発展してからである。本来の東洋鉄鋼株式会社を中心に附帯事業が葡萄状菌のように無限に重なりついた。傘下の会社はそれぞれ独立採算制だったが、それらを統括して東洋鉄鋼グループと銘打った。むろん、そこまで発達する途上では彼はあくどいことをした。たとえば、彼の事業は、当然、その先々で利益の衝突する他の既存会社との障害が起る。彼は強引にそれらを買収し、ときには謀略で強奪した。世間からはコンツェルンという大そうな名が菅沼の主宰する事業に与えられた。しかし、旧財閥と違って、この新興コンツェルンの主は、それだけの財力を要しても決して鷹揚に構えるようなことはなかった。相変わらずのあくどいやりかたは、世間の非難をうけたが、丑平はそんな評判など歯牙にもかけなかった。
作品分類 小説(長編) 345P×950=327750
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【帯】戦後の混乱期に巨財を築いた社長が、愛人を通して政界実力者に接近−−地位と金と女。飽くなき欲望うずまく政財界の暗部を、時代を予見する作家の眼がとらえ、興味つきない長篇に描く巨匠力作