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松本清張_ペルシアの測天儀 死の枝(第七話)

原題:十二の紐

No_0111

題名 死の枝 第七話 ペルシアの測天儀
読み シノエダ ダイ07ワ ペルシアノソクテンギ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=死の枝
(原題=十二の紐)

●全11話=全集(11話)
 1.交通事故死亡1名
 2.偽狂人の犯罪
 3.家紋
 4.史疑
 5.年下の男
 6.古本
 7.ペルシアの測天儀
 8.不法建築
 9.入江の記憶
10.不在宴会
11.土偶
本の題名 松本清張全集 6 球形の荒野・死の枝【蔵書No0047】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1971/10/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「小説新潮」
作品発表 年月日 1967年(昭和42年)8月号
コードNo 19670400-00000000
書き出し ある金属製品会社の課長をしている沢田武雄の家に泥棒が入ったのは、二週間くらい前であった。泥棒は留守をたしかめて入った形跡がある。田沢の妻は夕方きまって近くの市場に買い物に行くし、学校から帰った子供は遊びに出かけていない。午後五時から六時くらいの間は、いわばそうした家庭の魔の時刻であった。盗られたものは現金だけだった。これは妻がタンスの引出しの着物の間に挿んでいたもので、五万円ほどの被害額だった。タンスの引出しは下から上に向かって順次開けられていた。刑事の説明によると、これは常習の窃盗犯だそうである。また、妻の帯がタンスの上の引き出しからだらりと陳列品のように畳に垂れ下がっていた。刑事の話によれば、これは泥棒仲間の呪で、帯は体を縛るものだから、それをだらりと垂れ下げておくのは逮捕されないという意味だそうである。馴れた泥棒だとは、妻の着物や洋服などはいっさい手をふれていないことでも分かった。質屋に入れたり古着屋に持って行ったりするものは、どうしても足がつく。
あらすじ感想 おもちゃの測天儀は、常習の窃盗犯によって、沢田武雄の運命を翻弄する。
金属製品会社の課長、沢田武雄の家に泥棒が入った。
盗られたものは現金5万円程度と、ダイヤ入りの白金の指輪、翡翠の帯留め、スイス製の腕時計。
被害から二週間後、所轄の警察から呼び出しがあった。
犯人が捕まったというのである。前科三犯窃盗の常習犯だった。二十一歳になる男。
金は使ったが、品物は処分せずに持っていたので返却されることになった。
刑事は円いメダルのような物を見せた。
>「あ、それもわたしのものです」
アテネの空港で買ったお土産で、ペルシアの測天儀だった。もちろん模造品で、おもちゃのようなものだった。
刑事に、被害届のリストに載っていないことを咎められた。
そして、その測天儀に小さな疵があることを教えられる。沢田武雄にも覚えがなかった。
沢田夫婦の間でも、なぜ犯人があまり価値があるとも言えない「測天儀」を持って行ったのか話題になった。
沢田の妻は、もともと「測天儀」に全く興味を示さなかった。

それから二年、沢田武雄に愛人が出来た。
銀座のキャバレー
ホステス 高林路子
26歳 結婚の経験がある。、白で体格がよい、男好きの顔
マンションに囲う
沢田は彼女に注ぎ込む
測天儀を彼女に見せると眼を輝かせた。妻との違いを感じる沢田だった
測天儀をペンダントにするという
しかし、一週間もすると彼女の首からペンダントは外れた


話の筋立ては単純で、取り立てて書くほどのことはない。清張人身も作品中でことわっている。
金属製品の会社の課長、それなりに高給を取っている。
妻との間は不仲と言うほどではないが、倦怠期とでも言うのかしっくりしていない。
課長に女が出来た。そのきっかけもごくありふれたものだった。女をマンションに囲う。
やがて二人の中も醒めていく。女に男が出来る。
男(課長)の憎悪は女に向かう。憎悪は殺意へと増幅される。
女を殺した男(課長)は、現場(女の部屋)に残したペルシアの測天儀を持ち帰る。二人の中は誰も知るものがいなかった。
ペルシアの測天儀を持ち帰ったのは、二人の関係を知られる証拠隠滅のためでもあった。

この指示立てに絡むのが常習の窃盗犯である。
課長の沢田武雄宅に窃盗に入り、後に捕まった。なぜか、その時ペルシアの測天儀に興味を持った。
この窃盗犯は、後に沢田武雄の女のマンションに盗みに入った。そこで、測天儀を見た。

清張は、女ができた経緯や女に殺意を抱いた経緯を.ありふれた話しとして詳しく書いていない。
なるほど、筋立てにその経緯の意味は無い。

間抜けでお人好しの若い窃盗常習犯こそ主人公と言える。

外国での土産品で革製品、ガラス細工、貴金属の土産品など何でもよいのでは。
そう言えば、伊勢根付をテレビで見た。これなど、うってつけでは、日本製でもかまわない。
タイトルは、測天儀だが、「伊勢根付」でもよい気がする。
【伊勢根付】


ひょんなきっかけから、窃盗犯が「ペルシアの測天儀」を刑事に話す。
刑事への告白で事件は急展開

二つの窃盗事件は「ペルシアの測天儀」をはさんでつながる。
問題なのは、その一方の事件現場は、殺人事件の現場なのだ。
●読後感としては少々物足りない。


2021年01月21日 記
作品分類 小説(短編/シリーズ) 10P×1000=10000
検索キーワード 模造品・アテネ土産・窃盗常習犯・ペンダント・愛人・測天儀
登場人物
沢田 武雄 金属製品会社の課長。自宅に窃盗犯、アテネ空港の土産の測天儀が盗まれる。測天儀の行方が、彼の運命を変える。バーのホステスの女が出来る。
窃盗常習犯 間抜けでお人好しの若い窃盗常習犯。21歳。
高林 路子 ホステス。沢田武雄の愛人。 26歳 結婚の経験がある。色白で体格がよい、男好きの顔。マンションの自宅に窃盗犯が侵入。
刑事 窃盗常習犯の告白を受けて、沢田武雄の殺人事件を解決に向かわせる。

ペルシアの測天儀