No_148
題名 | 死の枝 第八話 不法建築 | ||
読み | シノエダ ダイ08ワ フホウケンチク | ||
原題/改題/副題/備考 | ●シリーズ名=死の枝 (原題=十二の紐) ●全11話=全集(11話) 1.交通事故死亡1名 (1105) 2.偽狂人の犯罪 (1106) 3.家紋 (1107) 4.史疑 (1108) 5.年下の男 (1109) 6.古本 (1110) 7.ペルシアの測天儀 (1111) 8.不法建築 (1031) 9.入江の記憶 (1112) 10.不在宴会 (1113) 11.土偶 (1114) |
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本の題名 | 松本清張全集 6 球形の荒野・死の枝■【蔵書No0047】 | ||
出版社 | (株)文藝春秋 | ||
本のサイズ | A5(普通) | ||
初版&購入版.年月日 | 1971/10/20●初版 | ||
価格 | 880 | ||
発表雑誌/発表場所 | 「小説新潮」 | ||
作品発表 年月日 | 1967年(昭和42年)9月号 | ||
コードNo | 19670800-00000000 | ||
書き出し | 東京R区役所の建築課監察係は、係長以下五人しかいなかった。監察係というのは、違反建築物を取り締まるところである。最近、地価の暴騰と人口の稠密で都内は違反建築物が増加している。殊に、面積に対して四割に建蔽率しか認めない地域では、それがひどく目立つ。緑地帯の環境保持も何もあったものではなかった。人家の多い下町では、キャバレー、料理屋、工場、百貨店などの違反建築が見られるが、R地区は以前から閑静な住宅地が多く、その大半が四割の建蔽率区域になっている。建築基準法は、用地地域の設定による地域の環境保持と併せて、建築物の防災上、衛生上の基準を定めている。ところが、最近は建売住宅なるものが増加してきた。わずかな土地に建築規制などまるで無視した建坪の家を建てる。ほとんどが総二階だ。そして隣との距離は一メートルもなく人間がやっと通れる程度である。ひどいのになると、棺桶が運び出せないという悲劇が起こっている。 | ||
あらすじ&感想 | 読み初めは、不法建築を巡る汚職事件かと思った。 しかし内容は意外な展開であった。不法建築利用法とでも言おうか。 不法建築が無くならない原因が具体的に書かれている。 >「あんたのところこれで何回同じ事を云ったらいいの?それでもあの建築ちっとも中止にならないじゃない >の。あんたのほうは建売業者からお金をもらっているんじゃない?裏側でご馳走してもらったりして結託し >ているから、建築屋のほうで構わずにやってるのと違いますか?」 >こういう電話通報でも役所用語で「陳情」といっている。 R区役所建築課監査係の上田喜一のところに「陳情」が入る。 >「あきらかに違反建築ですよ。建前もとっくに済んでいますが、建築課では認可しているのですか?」 区内杉原町二四七番地で違反建築があるというのだ。中年の男の声であった。 |
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作品分類 | 小説(短編/シリーズ) | 12P×1000=12000 | |
検索キーワード | 建築課監察係・希望建設・陳情・違反建築・バラバラ事件・売春婦・病院・変態性欲 |
登場人物 | |
上田 喜一 | R区役所建築課監査係。主人公、犯罪を推理する。 |
浜島係長 | R区役所建築課監査係長。上田喜一の上司 |
犬を連れた男 | 不法建築の現場付近を犬を連れて散歩する紳士風の男。不法建築の通報者。犯人。 |
高鍋 友三郎 | 希望建設社長。三十三、四歳。元暴力団員との噂がある。 |
杉原 | 鳶職の親方。四十四、五歳。希望建設の下請け |
雲井 槻太郎 | 不法建築の建築出願主(幽霊名前) |
売春婦 | バラバラ事件に関連して、怪奇な体験を通報する。 |