松本清張_溺れ谷

題名 溺れ谷
読み オボレダニ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 溺れ谷【蔵書No0016】
出版社 (株)新潮社
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1966/05/31●16版1967/11/25
価格 850
発表雑誌/発表場所 「小説新潮」
作品発表 年月日 1964年(昭和39年)1月号1965年(昭和40年)2月号
コードNo 19640100-19650200
書き出し 早春の美しい朝、東京世田谷区上野毛にある山田千江子の家に青年が一人訊ねてきた。「竜田香具子さんはご在宅でしょうか?」女中に渡した名刺には「政経路線」編集部次長、大屋圭造としてある。背の高い男で、色は浅黒いが、大きな目が光を湛えていた。英国製の生地で仕立てた洋服を着ているから、ネクタイも、靴も、それに相当して贅沢だった。女中が、はい、と言ったのは、世間では山田千江子よりも滝田香具子の方が通っているからである。戦前の映画ファンなら、この名前を忘れることはあるまい。近代的な役柄で売り出し、数数の主演映画を撮ってきたスターである。今ではときどきテレビに脇役として出演し、往年のオールドファンを懐かしがらせている。訪問者の青年は、こぢんまりとした応接間に通された。洋間だが、一応、華やかな気分に装いがなされている。小さな調度一つ見ても、気の利いた工夫があった。だが、気をつけてみると、それがあまり高価な品でないことが分かる。つまり、豪華な意匠が凝らされてあるからである。
作品分類 小説(長編) 309P×645=199305
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【カバー】長編ミステリー
亜細亜製糖社長長谷川と農相是枝の密かな取引! 愛欲と金銭欲に駆られて暗躍する悪徳記者 現代の黒い霧に挑む巨匠が、業界と政界間の贈収賄のカラクリを鋭く衝く問題の長編推理。