題名A |
支払いすぎた縁談 |
読み |
シハライスギタエンダン |
原題/改題/副題/備考 |
【重複】〔(株)講談社=遠くからの声(講談社文庫)〕 |
本の題名 |
松本清張全集 37 装飾評伝・短編3■【蔵書No0136】 |
出版社 |
(株)文藝春秋 |
本のサイズ |
A5(普通) |
初版&購入版.年月日 |
1974/7/05●2版 |
価格 |
1200 |
発表雑誌/発表場所 |
「週刊新潮」 |
作品発表 年月日 |
1957年(昭和32年)12月2日号 |
コードNo |
19571202-00000000 |
書き出し |
其処は、「和名抄」に見えているくらいだから旧い土地であった。二つの山脈にはさまれた狭い盆地の聚落である。村は裕福ではなかった。さりとてみすぼらしく貧困でもなかった。一本の川が流れ、両岸には広い桑畠があった。秋ごが終わると間もなく、遠い高い山には雪が来る。萱野家はこの土地の旧家であった。それを証明するような古文書をいくつか持っていた。田舎の旧家の貫禄はそれだけでは足りぬ。萱野家は相応の財産も持っていた。もとは大地主だったが、農地改革で三分の二を喪った。それでも山林は手つかずにある。当主の徳右衛門は何度となく村長に推されたが固辞した。小なりといえ村長も政治家である。政治に手を出していいことがない。財産は減るに決まっている。県会議員選挙で潰れた資産家の実例があった。村長は運動で金を費い、当選してからも村会議員にたかられる。徳右衛門は身慄いして断りつづけた。 |
作品分類 |
小説(短編) |
検索キーワード |
縁談・和名抄・旧家・古文書・慰謝料・結婚詐欺・資産家 |