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第七回清張マニア認定試験・狂気級(第2回)2015年12月21日

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狂気級(30問)
(試験時間60分/自動的に次の画面に変わります)

問題
問 1 ●松本清張の父親の名前の正しい記述はどれか。


1.峯太郎

2.清太郎

3.清治郎

4.峯張

5.峯次郎

問 2 ●以下は、ある年の清張略歴(藤井康栄著「松本清張の残像」)の記述で或る。何年の出来事か?

執筆量の限界を試してみようと思い、積極的に仕事をする。その結果、この年のなかば以後
書痙にかかる。
そのために原稿は口述、清書されたものに加筆するという方法をとり、速記者福岡隆を
約九年間にわたって専属とした。
七月二十二日、「小説帝銀事件」により第十六回の文藝春秋読者賞を受賞と決定。賞金十万円。
十一月二十八,二十九日、文藝春秋新社主催の読者大会(東京宝塚劇場)において、
文士劇「荒神山」に斎宮清五郎の役で初出演。



1.1955年

2.1957年

3.1959年

4.1961年

5.1963年

問 3 ●松本清張は、芥川賞(1953年)をはじめ数々の賞を受賞しているが
 年代と受賞の間違いはどれか



1.1957年 日本探偵作家クラブ賞

2.1959年 文藝春秋読者賞

3.1964年 婦人公論賞

4.1970年 菊池寛賞

5.1978年 放送文化賞(NHK)


問 4 ●松本清張の略歴で1988年の出来事を示す記述はどれか。


1.一時は週刊誌二本、月刊誌一本の連載をこなす精力的
  な仕事ぶりで周囲を圧倒するが、十一月には体調を崩して東京女子医大病院に入院。
  近年、視力の低下になやまされ、眼科に通うことも多くなった。

2.相変わらず多方面の仕事が続く。
  二月十八日から三月六日まで東京女子医大病院に入院、前立腺の手術を受けるが、
  順調に回復。
  六月十一日から連作短篇「草の径」取材のためヨーロッパ取材旅行。アイルランド、オランダ、
  オーストリア、ドイツを歴訪し、二十五日帰国した。

3.三月二十二,二十三の両日、松江市の島根県民会館
  で開かれた山陰中央新報社主催の公開シンポジウム「銅剣・銅鐸・銅矛一括埋蔵の謎」に参加、
  総合司会をつとめた。
  四月、NHKの特別企画「ミツコ−−二つの世紀末」スタッフと共同記者会見、
  番組制作と平行して同じ素材で小説を執筆するという新機軸を発表した。

4.この年は海外旅行が多く、七月にはヨーロッパ、八月三十日から九月二十日まではイラン、
  そして十二月二十七日から翌年一月五日にかけて、シンガポール、ペナン、バンコク、香港
  などを取材して歩いた。
  NHKテレビ「清張古代史をゆく」取材中のイランでは、大地震とパーレビ国王退陣を求める
  反政府騒動に遭遇した。。

5.一月十五日から三日間、博多全日空ホテルでおこなわれた朝日新聞社主催の
  「邪馬台国シンポジウム」ツァーに、構成・司会者として参加した。
  江上波夫、井上光貞、岡崎敬、直木孝次郎、森浩一、大林太良が講師として出席、
  全国から六百人あまりの聴講者が集まった。

問 5 ●松本清張の小説の題名で「殺」の文字が入っている作品で、間違っている記述はどれか。


1.「殺意」

2.「高校生殺人事件」

3.「
夏夜の連続殺人事件」

4.「火神被殺」

5.「アムステルダム運河殺人事件」

問 6 ●松本清張の長編小説で上下二巻に分けて出版された作品は多数あるが、間違った記述はどれか。


1.「異変街道」


2.「黒革の手帳」

3.「夜光の階段」

4.「西海道談綺」


5.「熱い絹」

問 7 ●以下は松本清張のある作品の書き出しである。作品名が正しい記述はどれか。

>北九州のR市は、背後地帯の石炭によって成長し、繁栄してきた。元はおっとりした城下町で、
>前は玄界灘に対い、東西は荒々しい気風の港町がつづいている。
>R市が奥床しい情緒をとどめていることは、裏町を通ると茶の湯の看板を掲げた庭の家があったり、
>士族屋敷がならんでいたり、旧藩時代の寺が減りもせず、そのままの数で残っていることでも分かる。
>谷尾喜右衛門の屋敷は、この静かな一劃に一町四方を占めて建っていた。白壁の塀が長々と
>平面的につづくのは、由緒ある寺院かとおもわれるくらい壮観であった。
>大きな門も終日開けられることはない。塀の上には亭々と銀杏の樹が伸びていた。
>谷尾喜右衛門は土地の人間ではない。
>若いとき作州津山の山奥から出て来て、裸一貫で今日を叩き上げた。
>彼についての臆説はいろいろあるが、炭坑の底で裸体を真黒にして鶴嘴を揮っていたことは
>間違いない。



1.絢爛たる流離 第一話 土俗玩具

2.絢爛たる流離 第二話 小町太鼓

3.絢爛たる流離 第三話 百済の草

4.絢爛たる流離 第四話 走路

5.絢爛たる流離 第五話 雨の二階


問 8 ●以下は松本清張の小説で一文字の題名である。間違いの題名が含まれるものはどれか。


1.「月」「声」

2.「影」
「葛」

3.「指」「点」

4.「眼」「蓆」

5.「顔」「山」

問 9 ●以下は松本清張の作品とキーワードを記述しているが、作品名とキーワードの組み合わせが
 間違っている記述はどれか。



1.【凝視】=東京都の隣県・強盗・刺身包丁・夫婦喧嘩・駐車場・風船

2.【証言】=西大久保、丸の内、大森、渋谷、映画、偽証、筆跡、課長

3.【発作】=新聞社・愛人・競輪・調査課・高利貸し・共産党員・手紙・療養所・電車

4.【剥製】=鳥寄せの名人・武蔵野・新聞社・カメラマン・取材・作家・美術評論家

5.【暗線】=伯備線・温泉宿・宿帳・小説家・池袋・編集者・新聞連載・通俗雑誌

問 10 ●次の記述は、松本清張の短編小説「結婚式」の書き出しの文章であるが、
 正しい記述はどれか。



1.ホールの金屏風を背にして、花婿・花嫁は、少しうなだれて立っていた。
  花婿のそばでは、仲人が客に新夫婦の紹介をしていた。
  仲人は、自分の演説にユーモアを混ぜるつもりか、時折、わざと滑稽なことを交えた。
  多分、前夜から、その文句を考え抜いていたのであろう。
  客は、その個所になると、お義理に少し笑った。

2.ホールの金屏風を背にして、花婿・花嫁は、少しうなだれて立っていた。
  花婿のそばでは、仲人が客に新夫婦の紹介をしていた。
  私の指定された席は、そのメーン・テーブルを正面に見るところだった。
  新郎は少し痩せ、花嫁は少し肥えていた。
  薄い紗の垂れた花嫁の顔は、この広いホールの上に吊り下がっている
  見事なシャンデリアを装飾にこよなく美人に見えた。

3.ホールの金屏風を背にして、花婿・花嫁は、少しうなだれて立っていた。
  花婿のそばでは、仲人が客に新夫婦の紹介をしていた。
  私はそれを聴いて、早く仲人の紹介の辞が終わればいいと思っていた。
  このあと、次々に、テーブル・スピーチがつづくに違いない。
  それを聴くだけでもかなりな時間を要する。

4.ホールの金屏風を背にして、花婿・花嫁は、少しうなだれて立っていた。
  花婿のそばでは、仲人が客に新夫婦の紹介をしていた。
  板根禎子は、秋に、すすめる人があって鵜原憲一と結婚した。禎子は二十六歳であった。
  相手の鵜原は三十六歳だった。
  年齢の組合せは適切だが、世間的にみると、多少おそい感じがした。

5.ホールの金屏風を背にして、花婿・花嫁は、少しうなだれて立っていた。
  花婿のそばでは、仲人が客に新夫婦の紹介をしていた。
  戦時中の雇傭した女たちは、一斉に退社させられた。須村さと子もその一人である。
  しかし彼女は、その社に居る間に、職場で好きになった男がいたので、直ちに結婚した。
  それが須村要吉である。彼女より三つ年上だった。

問 11 ●次の記述は、松本清張の「日本の黒い霧」の書き出しであるが、
  タイトルとその内容が間違っている記述はどれか


1.(革命を売る男・伊藤律)
  昭和二十七年一月二十一日の午後七時半ごろのことである。
  札幌市内を蔽った雪は、暮れたばかりの夜の中に黒く吸い込まれていた。
  南六条の西十六丁目辺りを二台の自転車が走っていたが、突然、銃声が聞こえると、
  その一台は雪の上に倒れた、もう一台の自転車はそのまま、三百メートルくらい進んで、
  やがて闇の中に消えた。折からラジオは「三つの歌」を放送していた。
  この通りは通行人が疎らで、凍てついた道の上を暗い街灯がぽつぽつとついているだけである。
  通行人の報せで、すぐに警察の車が走って来て、警官が撃たれた男を抱き起こして見て愕いた


2.(鹿地亘事件)
  昭和二十六年十一月二十五日午後七時ころ、藤沢市鵠沼に転地療養していた鹿地亘は、
  江ノ電鵠沼付近の道路を散歩中、二台の米軍乗用車によって挟まれた。
  次に、車から降りた五、六人の米軍人の手で車内に連れ込まれ、手錠を掛けられ、
  白い布で眼隠しされたまま拉致された。いわゆる鹿地事件の発端である。
  事件の経過をなるべく簡略にするために要点だけを摘記していくと、
  鹿地が最初監禁された場所は、東京都本郷の岩崎別邸、
  通称岩崎ハウスと呼ばれるキャノン機関の本拠であった


3.(追放とレッド・パージ)
  日本の政治、経済界の「追放」は、アメリカが日本を降伏させた当時からの方針であった。
  一九四五年八月二十九日に、アメリカ政府はマッカーサーに対して
  「降伏後における合衆国の初期対日政策」という文章を伝達し、
  さらに同年十一月三日付で「日本の占領並びに管理のための連合国最高司令官に対する降伏後
  初期の基本的指令」と題する文章を発表した。
  GHQは、この二つの文章に基づいて占領政策を実行に移すことになったのである。


4.(謀略朝鮮戦争)
  このシリーズを書きつづけて、遂に最終回を迎えた。
  いつかも書いたように、これは日本における米軍占領中の出来事に限定している。
  その意味で、ここに「朝鮮戦争」を取上げるのは、奇異な感じを読者は受けられるかもしれない。
  朝鮮戦争はケタ外れに大きいし、必ずしも、このシリーズの最終に書くべき課題ではないかもしれない。


5.(ラストヴォロフ事件)
  昭和七年十月七日の朝刊には、柳條溝爆破事件など日中両国の紛争事情を現地で
  調査したリットン報告が発表され、その反駁意見書起草のため、
  外務省に、有田(八郎)次官、吉田(茂)駐伊大使、松岡(洋右)
  代表、陸軍側から山岡軍務局長、永田参謀本部第二部長など、
  海軍側から寺島軍務局長、島田軍令部第三班長などが参集したという記事が載っている。
問 12 ●以下は松本清張の長編小説で単行本として刊行されたものである。
 「水の肌」のタイトルの本はどれか。


1.



2.



3.



4.



5.



問 13 ●以下は「名札のない荷物」に収められたタイトルであるが、 間違っている記述はどれか。


1.怨霊のなぐさめ

2.天正十年のマクベス

3.「兵隊王」の丘から

4.立ちどまる賢人

5.歌のない歌集


問 14 ●以下の記述は、松本清張の長編小説「神々の乱心」(未完)の記述である。
  下記の記述の中で正しい記述はどれか。


1.東武鉄道東上線は、東京市池袋から出て埼玉県川越市を経て、秩父に近い寄居町にいたっていた。
  武蔵野平野の西南部を横断しているかたちである。その途中に「梅田」という駅がある。
  昭和八年現在の東武鉄道の時刻表で池袋駅から所要時間が約一時間である。
  ここは埼玉県比企郡梅田町で、人口約一万三千。郡役所、裁判所出張所、警察署、比企郡
  繭糸同業組合支部、武州中央銀行支店、県立中学校、小学校などが備わっている。
  駅前通りには商店がならび、料理店も多い。旅館は五軒ある。
  駅前広場にタクシーが以前からみると相当ふえた。
  
2.東武鉄道東上線は、東京市池袋から出て埼玉県川越市を経て、秩父に近い寄居町にいたっていた。
  武蔵野平野の西南部を横断しているかたちである。その途中に「梅広」という駅がある。
  昭和八年現在の東武鉄道の時刻表で池袋駅から所要時間が約一時間である。
  ここは埼玉県比企郡梅広町で、人口約一万三千。郡役所、裁判所出張所、警察署、比企郡
  繭糸同業組合支部、武州中央銀行支店、県立中学校、小学校などが備わっている。
  駅前通りには商店がならび、料理店も多い。旅館は六軒ある。
  駅前広場にタクシーが以前からみると相当ふえた。

3.東武鉄道東上線は、東京市池袋から出て埼玉県川越市を経て、秩父に近い寄居町にいたっていた。
  武蔵野平野の西南部を横断しているかたちである。その途中に「梅広」という駅がある。
  昭和八年現在の東武鉄道の時刻表で池袋駅から所要時間が約一時間二十分である。
  ここは埼玉県比企郡梅広町で、人口約一万五千。郡役所、裁判所出張所、警察署、比企郡
  繭糸同業組合支部、武州銀行支店、県立中学校、小学校などが備わっている。
  駅前通りには商店がならび、料理店も多い。旅館は六軒ある。
  駅前広場にタクシーが以前からみると相当ふえた。

4.東武鉄道東上線は、東京市池袋から出て埼玉県川越市を経て、秩父に近い寄居町にいたっていた。
  武蔵野平野の西部を横断しているかたちである。その途中に「梅広」という駅がある。
  昭和八年現在の東武鉄道の時刻表で池袋駅から所要時間が約一時間である。
  ここは埼玉県比企郡梅広町で、人口約一万三千。郡役所、裁判所出張所、警察署、比企郡
  繭糸同業組合支部、武州中央銀行支店、県立高校、中学校などが備わっている。
  駅前通りには商店がならび、料理店も多い。旅館は六軒ある。
  駅前広場にタクシーが以前からみると相当ふえた。

5.東武鉄道東上線は、東京市池袋から出て埼玉県川越市を経て、秩父に近い寄居町にいたっていた。
  武蔵野平野の西南部を横断しているかたちである。その途中に「梅田」という駅がある。
  昭和八年現在の東武鉄道の時刻表で池袋駅から所要時間が約一時間二十分である。
  ここは埼玉県比企郡梅田町で、人口約一万三千。郡役所、裁判所出張所、警察署、比企郡
  繭糸同業組合支部、武州中央銀行支店、県立中学校、小学校などが備わっている。
  駅前通りには商店がならび、料理店も多い。旅館は六軒ある。
  駅前広場にタクシーが以前からみると相当ふえた。
問 15 ●以下は松本清張の小説の主な登場人物である。正しい作品名はどれか。

1.長村平太郎
2.久井ふみ子
3.市沢庸亮


1.「上申書」

2.「人間水域」

3.「式場の微笑」

4.「渡された場面」

5.「呪術の渦巻文様」


問 16 ●以下は松本清張の長編小説であるが、題名と発表雑誌/発表場所.発表年月日の記述が
  間違っている組み合わせはどれか。



1.題名:『混声の森』
  発表雑誌/発表場所:「河北新報」
  発表年月日:1967年(昭和42年)8月13日〜1968年(昭和43年)7月18日

2.題名:『数の風景』
  発表雑誌/発表場所:「週刊朝日」
  発表年月日:1986年(昭和61年)3月7日号〜1987年(昭和62年)3月27日号

3.題名:『白と黒の革命』
  発表雑誌/発表場所:「文藝春秋」
  発表年月日:1979年(昭和54年)6月号〜1979年(昭和54年)12月号

4.題名:『蒼い描点』
  発表雑誌/発表場所:「北海道新聞」
  発表年月日:1960年(昭和35年)6月3日号〜1961年(昭和36年)2月19日号

5.題名:『湖底の光芒』
  発表雑誌/発表場所:「小説現代」
  発表年月日:1963年(昭和38年)2月号〜1964年(昭和39年)5月号
問 17 ●松本清張の長編小説『黄色い風土』は、ある作品を改題したものであるが、原題はどれか。


1.『黒い風土』

2.『黄色い杜』

3.『赤いくじ』

4.『青のある断層』

5.『白い闇』

問 18 ●以下の作品は、いずれも、1970年代の作品であるが発表時期が一番早い作品はどれか。


1.
六畳の生涯

2.山の骨

3.
河西電気出張所

4.凝視(原題:視線)

5.速記録

問 19 ●以下は松本清張の短編小説「泥炭地」の書き出し部分であるが、間違っている記述はどれか。


1.河東電気小倉出張所は、倒産した大きな料理屋のあとに入っていた。すぐ裏が遊郭、前の通りに
  劇場と映画館とがあり、小料理店がならび、近くには検番がった。昭和二年の三月、小学校高等科を
  出た福田平吉が職業紹介所から渡された一枚の紙で配属されたのはこの河東電気小倉出張所
  であった。職業紹介所の窓口の係員は平吉の貧弱な身体つきを見て、力仕事はできそうもないから
  住みこみの丁稚奉公はどうか、と付き添ってきた父の丈太郎にきいた。
  丈太郎は首を振り、この子は一人息子ですけん住み込みはとても無理ですといった。
  平吉は丈太郎の三十六のときの子である。

2.河西電気小倉出張所は、倒産した大きな料理屋のあとに入っていた。すぐ裏が遊郭、前の通りに
  劇場と映画館とがあり、小料理店がならび、近くには検番がった。昭和二年の三月、小学校高等科を
  出た福田平吉が職業紹介所から渡された一枚の紙で配属されたのはこの河西電気小倉出張所
  であった。職業紹介所の窓口の係員は平吉の貧弱な身体つきを見て、力仕事はできそうもないから
  住みこみの丁稚奉公はどうか、と付き添ってきた父の高太郎にきいた。
  高太郎は首を振り、この子は一人息子ですけん住み込みはとても無理ですといった。
  平吉は高太郎の三十六のときの子である。

3.河北電気小倉出張所は、倒産した大きな料理屋のあとに入っていた。すぐ裏が遊郭、前の通りに
  劇場と映画館とがあり、小料理店がならび、近くには検番がった。昭和二年の三月、小学校高等科を
  出た福田平吉が職業紹介所から渡された一枚の紙で配属されたのはこの河北電気小倉出張所
  であった。職業紹介所の窓口の係員は平吉の貧弱な身体つきを見て、力仕事はできそうもないから
  住みこみの丁稚奉公はどうか、と付き添ってきた父の峯太郎にきいた。
  峯太郎は首を振り、この子は一人息子ですけん住み込みはとても無理ですといった。
  平吉は峯太郎の三十二のときの子である。

4.河東電気小倉出張所は、倒産した大きな料理屋のあとに入っていた。すぐ裏が遊郭、前の通りに
  劇場と映画館とがあり、小料理店がならび、近くには検番がった。昭和二年の三月、小学校高等科を
  出た福田丈吉が職業紹介所から渡された一枚の紙で配属されたのはこの河東電気小倉出張所
  であった。職業紹介所の窓口の係員は丈吉の貧弱な身体つきを見て、力仕事はできそうもないから
  住みこみの丁稚奉公はどうか、と付き添ってきた父の丈太郎にきいた。
  丈太郎は首を振り、この子は一人息子ですけん住み込みはとても無理ですといった。
  丈吉は丈太郎の三十六のときの子である。

5.河北電気小倉出張所は、倒産した大きな料理屋のあとに入っていた。すぐ裏が遊郭、前の通りに
  劇場と映画館とがあり、小料理店がならび、近くには検番がった。昭和二年の三月、小学校高等科を
  出た福田平吉が職業紹介所から渡された一枚の紙で配属されたのはこの河北電気小倉出張所
  であった。職業紹介所の窓口の係員は平吉の貧弱な身体つきを見て、力仕事はできそうもないから
  住みこみの丁稚奉公はどうか、と付き添ってきた父の丈太郎にきいた。
  丈太郎は首を振り、この子は一人息子ですけん住み込みはとても無理ですといった。
  平吉は丈太郎の三十二のときの子である。


問 20 ●以下の記述は松本清張の長編時代小説作品であるが、シリーズ作品でない作品名はどれか

1.大奥婦女記

2.かげろう絵図

3.彩色江戸切絵図

4.紅刷り江戸噂

5.小説日本芸譚

問 21 ●以下の記述は松本清張の長編小説「Dの複合」のあらすじである。

  (あらすじの出典:ウィキペディア)

あまり売れない小説家・伊瀬忠隆は、天地社の雑誌「月刊 草枕」の依頼を受け、
「僻地に伝説をさぐる旅」の連載を始めた。
○○○○伝説の取材で、編集者の浜中と丹後半島の網野町を訪れるが、宿泊した木津温泉にて、
警察が近くの山林を捜索しているところに遭遇する。
人間の死体を埋めたという投書があったというが、のちに同じ場所からは
「第二海竜丸」と記された木片が発見された。
旅は網野神社から明石へと続くものの、以降、取材先の各地で、
不可解な謎や奇怪な事件が立て続けに発生した。
やがて浮上する奇妙な暗合。伊瀬を動かすプランの正体とは…。


○○○○伝説とされる伝説とはなにか。(文字数は、4文字とは限らない)


1.鬼ヶ島

2.天女の羽衣

3.かぐや姫

4.桃太郎

5.浦島太郎

問 22 ●以下は松本清張の作品名、登場人物、人物像の組み合わせである。
  間違った組み合わせの記述はどれか。


1.「肉鍋を食う女」
  
荒井警部=岡田警部補と秋子を調べる。秋子がトラを殺した疑いを持つ。
 
2.「点と線」

  笠井警部=福岡署のベテラン刑事。

3.「砂の器」
  
黒崎警部=警視庁捜査一課一係長。捜査主任。

4.「張込み」
  
下岡刑事=刑事。石井の故郷山口「小郡」へ向かう。

5.「尊厳」
  
多田警部=元宮の先導に失敗し自殺をする。

問 23 ●以下は、松本清張の長編小説の書き出し部分である。「美しき闘争」の書き出し部分はどれか。


1.倉田麻佐子に一つの記憶がある。−−−彼女がまだ大学の二年生だったから、今から五年前に
  当たる。叔父の芦名信雄といっしょに仙台から山形を回ったことがあった。
  あれは懐かしい旅だった。「麻佐子」渋谷の家に遊びに行ったとき叔父は云った。
  「来月は飛び石連休があるね」五月の初めは暦の上でそうなっている。
  「何か予定があるかい?」信雄は癖の、すぼめるような眼つきをした。長身だが痩せていた。
  年齢より老けて見えるのも丈夫でない証拠である。
  「別に決めてないけど」そのゴールデン・ウイークは麻佐子も年の初めから楽しみにしていた。
  その年の五月は祭日と日曜とが一日おきにあり、これに土曜日が加わっている。
  「もうとっくに決まっているかと思った」麻佐子は、前から、その連休をどう埋めようかと考えて
  いないではなかった。
  むしろ思案に過ぎて、決まらなかったといえる。多勢の友達と相談したのがいけなかった。
  のかもしれない。衆議まちまちで、結局、宙ぶらりんの恰好になっていた。

2.雨は昼間より激しいものに見えた。ヘッドライトの先の舗道に白い水煙が立ち昇っている。
  「すっかり梅雨だね」高尾庄平はタクシーの運転手の背中に話しかけた。
  運転手は返事をしない。車を止めて煙草を吸っている。
  前に車の列がつかえているので、不機嫌だった。
  新宿から甲州街道へ抜ける西口のあたりはことに混雑する。夜の九時ごろだが、いつもだと、
  すいているのに、雨のせいで、数も多く、容易に進めない。
  ワイパーだけがフロントガラスにいそがしく回転していた。
  遠くの信号が青に変わっても車はわずかに進んだだけだった。
  運転手は舌打ちして煙を吐く。「雨が降ると、君たちも忙しいね」高尾庄平は愛想を言った。
  「いくら忙しくても、こう走れないんじゃ商売にならないよ」運転手は、いらいらした声を投げた。
  庄平は、雨滴れの流れている窓から外をのぞいていた。
  商店街の明るい灯の下では無数の傘が動いていた  。

3.六月の十日であった。都心のガード下に沿った狭くて細長い地帯に走る路地は、ちょっとした
  迷路となっていて、屈折したり行きどまりになったりしている。
  そのようなガード下、区域的には有楽町と大手町の中間とでもいうか、やはり迷路じみた中に、
  すし屋とバアにはさまれた狭い間口の喫茶店があった。
  樫材に擬せた重々しげな赤黒色のドアには鍍金した獅子の頭だけの彫刻が貼りつけられ、
  その上に『DATE』と白の彫り文字が按配されていた。
  この店名を見て同じ綴りから「逢引き」と早呑み込みする者があるかもしれないが、金色の
  獅子頭がそぐわないから首を捻ろう。相応ないのも道理、デートでも店主の意は棗椰子の実である。
  さてこそ熱帯に生い繁る棗椰子の密林にライオンの頭が浮かんでくるわけだが、
  どうして棗椰子を店の名にしたかわからぬ。
  あるいはこのガード下の細長い地帯の迷路じみた小径をジャングルの小径になぞらえたのかもしれぬ。

4.早春のある日、小説家小西康夫は一通の封書をうけとった。
  茶色の封筒で、裏に「中北新聞社」の大きな活字があり、N県N市の本社所在地名と
  代表電話番号とが小さな活字でならんでいた。
  N県は北陸地方にあり、N市は県庁のある都市である。
  社名の横には「沼田禎一」と、これは万年筆の、かなり枯れた書体で書かれてあった。
  小西には、中北新聞社にも沼田禎一の名にも心当たりはなかった。これは小さな地方紙らしい。
  小西は仕事の上で、大きな地方紙の名はだいたい聞いている。
  三大ブロック紙といわれるもののほかに、戦争中の統合紙のようなものが現在でもだいたい
  その県内で勢力を保っている。げんにN県では「H新報」というのが知られている。

5.井沢恵子は門を出た。この辺の路は暗い。小さな家が多かったが、それでも住宅街だった。
  外灯がまばらに路を照らしている。
  恵子はタクシーの走っている通りへ向かって脚を大きく運んでいた。
  もう、バスは終わっているだろう。賑やかな通りに出るまで、まだかなりの距離があった。
  風が冷たかった。その冷たさが熱した頬にこころよい。わずか紙一枚の手続きだった。
  いや、、判コを捺すことだけで米村恵子に変わったのだ。
  実に何でもない瞬間だった。この手続きのために、なんと一年間、苦しんできたのだ。
  泪は出なかった。まだ怒りが胸にたぎっている。
  たった十五分前までは夫だった木村和夫と姑のミネ子に、引返して怒鳴りたくなる。
  大きな声で腹の底から罵倒したかった。が、彼女はその離婚届に判を捺したとき、
  「長らくお世話になりました」と、冷静に両人に挨拶できた。理性に勝った動作だった。
  その冷静さが今になって腹が立ってくる。
問 24 ●以下の記述は、松本清張の小説「或る『小倉日記』伝」の登場人物であるが、主人公の田上耕作の
  友人の名前はどれか。


1.原山 正雄

2.秋谷 茂一

3.白川 慶一郎

4.白井 正道

5.江南 鉄雄

問 25 ●以下の記述は、『松本清張全集 34 半生の記・ハノイで見たこと・エッセイより』に収録された
  文章(書き出し部分)であるが、正しいタイトルは何か。

三月十九日午後五時、私と朝日新聞の森本哲朗君とはICC機
(インドシナ国際休戦監視委員会の連絡用飛行機)の座席にすわった。
ベルトを締めたものの、たがいに顔を見合わせた。
ビエンチャン空港の東の空は厚い雲に閉ざされている。
これまでの空港からだけでも四回この古い四発のストライトライナー機に乗ったのだが、
その都度、ハノイの天候が悪いというので飛べなかった。
一度などは、ラオスと北ベトナムの国境にあるアンナン山脈の上に出ながら
引き返したものである。
四度目の十五日(金曜日)は、ハノイの天候の調子は良かったが、ビエンチャン空港の
コントロールタワーが突然の故障で出発できなかった。
五度目の今度、ハノイの空は良好とはいえないが、とにかく乗ってみてくれ、
もしかすると途中で引き返すことになるかもしれない、というのがICCの
ビエンチャン駐在の主任の話であった。



1.松本清張の北ベトナム報告(改題=ハノイからの報告)

2.北ベトナム日記(改題=ハノイ日記)

3..ベトナムとラオス(改題=ベトナム日記)

4.ハノイに入るまで

5.ベトナムの空

問 26 ●樋口清之氏と共著のエッセー「○○の旅」は、以下のタイトルで書かれているが
  間違っているものはどれか。



1.「大阪の旅」

2.「奈良の旅」

3.「鎌倉(箱根・伊豆)の旅」

4.「京都の旅 1.2」

5.「東京の旅」

問 27 ●現代官僚論の内、『松本清張全集 31 深層海流・現代官僚論』に収録された作品は
  7作品だけである。(書かれたのは、13作品)収録されなかった作品はどれか



1.外務官僚論

2.文部官僚論

3.農林官僚論

4.検察官僚論

5.通産官僚論
問 28 ●「発想の原点」は、松本清張の対談集である。
  松本清張の対談相手と対談のテーマが正しい記述はどれか。



1.佐野洋:「清張ドキュメンタリーの源泉」

2.森村誠一:「ノーモア悪魔の飽食」

3.五木寛之:「作家は荒野を目指す」

4.井上ひさし:「清張ミステリーの奥義と魅力」

5.筒井康隆:「作家はひとり荒野をゆく」


問 29 ●以下の記述は、松本清張の「清張通史」(全六巻)の各タイトルであるが
  正しい順番はどれか

A.「天皇と豪族」
B.「壬申の乱」
C.「寧楽」
D.「カミと青銅の迷路」
E.「邪馬台国」
F.「空白の世紀」



1.A−B−C−D−E−F

2.B−C−E−F−D−A

3.C−A−F−E−D−E

4.D−E−A−C−F−B

5.E−F−D−A−B−C

問 30 ●松本清張の長編小説「張込み」で、刑事(柚木刑事)が張込む場所(旅館)の名前を記述せよ。


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終了

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