研究室_蛇足的研究
2025年02月20日 |
清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!
研究作品 No_165 【削除の復元】 (シリーズ作品/草の径:第一話) 〔月刊 文藝春秋〕 1990年(平成02年)1月号 |
小説家の畑中利雄は、北九州小倉北区富野の工藤徳三郎という未知の人に手紙をもらった。畑中はときおり自作のことで読者から手紙やハガキがくる。批判もあれば疑問の質問もある。賞められることはめったにない。工藤徳三郎という人の手紙は質問だった。しかし、畑中の書いたものではなく、I書店から出版された『鴎外全集』(決定版)の「小倉日記」についてだった。同書店では『鴎外全集』をこれまで昭和十一年版と昭和二十七年版と二回出しているが、三回目の『鴎外全集』は大型の装幀で「決定版」と銘打ち、「小倉日記」収録の第三十五巻は昭和五十年一月二十二日発行であった。 |
シリーズ作品「草の径」は、清張最晩年の作品です。 発表時から単行本に収録されるまでに紆余曲折があったように見受けられる。 発表は、「月刊 文藝春秋」で、1990年(平成2年)1月号から始まっている。 1990年(平成2年)1月号=「削除の復元」 1990年(平成2年)4月号=「ネッカー川の影」 1990年(平成2年)5月号=「死者の網膜犯人像」(原題:死者の眼の犯人像) 1990年(平成2年)6月号=「「隠り人」日記妙」 1990年(平成2年)8月号=「モーツアルトの伯楽」 1990年(平成2年)11月号=「呪術の渦巻き文様」(原題:無限の渦巻き文様) 1990年(平成2年)12月号〜1991年(平成3年)1月号=「老公」 1991年(平成3年)2月号=「夜が怖い」 何れも短編であるが、以上の通り順次発表されている。(必ずしも毎月発表された訳では無いようだ) 1991年に文藝春秋社から単行本「草の径」が、出版されている。(私は3版を蔵書/初版は1991年) ![]() 【草の径】第二話『ネッカー川の影』 【草の径】第三話『死者の網膜犯人像』 【草の径】第四話『「隠り人」日記抄』 【草の径】第五話『モーツアルトの伯楽』 【草の径】第六話『呪術の渦巻き文様」 【草の径】第七話『老公』 【草の径】第八話『夜が怕い』 ●全集の第66巻(1996年(平成8年)3月30日/初版) ※「松本清張全集 66 老公 短篇6」では、「削除の復元」は、 シリーズ「草の径」ではなく単独で収録 全集66巻短編6では、「草の径」 収録順番がかなり違っている。 それぞれ出版事情があるのだろうが、「老公」が、草の径の第一話のように編集されていて 「削除の復元」が、単独の短編として編集されている。奇妙に感じられる。 収録内容は 一.【草の径】(siri-zu03) 1.老公(077__02) 2.モーツアルトの伯楽(075__02) 3.死者の網膜犯人像(073__02) 4.ネッカー川の影(072__02) 5.「隠り人」日記抄(074__02) 6.呪術の渦巻文様(076__02) 7.夜が怕い(078__03) 二.「河西電気出張所」(613__03) 三.「山峡の湯村」(046__02) 四.「夏島」(606___02) 五.「式場の微笑」(113__02) 六.「骨壺の風景」(058__02) 七.「不運な名前」(614__02) 八.「疑惑」(004__02) 九.「断崖」(609__02) 十.「思託と元開」(704) 十一.「信号」(607__02) 十二.「老十九年の推歩」(608__02) 十三.「泥炭地」(677__02) 十四.「削除の復元(071) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 舞台は小倉で、作家が登場。 その作家に、未知の人物から手紙が届く。 読者からの手紙なのだが、内容は質問であり、『書店から出版された『鴎外全集』(決定版)の「小倉日記」についてだった。』 舞台設定は、清張得意の設定と言ってよい。 北九州市小倉北区富野 ![]() 正直、材料はお馴染みである。清張がどんな料理に仕上げてくれるか期待したい。 |