研究室_蛇足的研究

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2022年07月21日


清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!




研究作品 No_135
愛犬(原題=清張短編新集/原題=狗)
(シリーズ作品/隠花の飾り:第二話)

おみよさんは京橋近くの会席料理店「初音」の会計係をつとめている。店は、こぢんまりしたビルの七階と八階の全フロアを占めていた。「初音」はいい客をもっていた。商社も一流どころのが使ってくれていた。●蔵書【隠花の飾り】(株)新潮社●「小説新潮」1978年(昭和53年)2月号
〔小説新潮〕
1978年(昭和53年)2月号



おみよさんは京橋近くの会席料理店「初音」の会計係をつとめている。店は、こぢんまりしたビルの七階と八階の全フロアを占めていた。「初音」はいい客をもっていた。商社も一流どころのが使ってくれていた。おみよさんがこの店にきて八年になる。入ったとき二十七歳だったが、その容貌から会計係で置くのは惜しいので、二年ぐらいして座敷に出るように店主から言われたけど、とうとう銀鼠の着物を断った。銀鼠の着物はお座敷女中のお仕着せである。店にはそういうのが三十人ばかりいて、全部通いであった。おみよさんは色白のふっくらした顔立ちで、眼が大きい。唇の少し厚いのが難だが、口紅をせまく塗っているので、それほど目立たない。笑うと八重歯がこぼれる。お座敷女中には、若さといい、容貌といい、彼女ほどの女はそれほど居ないので、店主が彼女を座敷に出したがるのも無理はなかった。
シリーズ作品【隠花の飾り】第二話
おみよさんが主人公らしい。「おみよ」さんだから、美代子とかが本名だろう。
会席料理店で、会計係だ。
入店してから8年、当時27歳だから、35歳になるわけだ。
会計係にしておくには惜しい容姿の持ち主。入店して2年ぐらいで、座敷に出るよう店主に勧められるが断っていた。
店は、一流どころの商社も利用していた。
彼女と、出入りする客との話が膨らんでいくのだろう。
なにしろ、彼女は
>...色白のふっくらした顔立ちで、眼が大きい。唇の少し厚いのが難だが、口紅をせまく塗っているので、それほど目立たない。
>笑うと八重歯がこぼれる。

愛嬌があった。