研究室_蛇足的研究

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2021年02月20日


清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!




研究作品 No_113
不在宴会
(シリーズ作品:死の枝 第十話(原題=十二の紐))

魚住一郎は中央官庁の或る課長だった。彼の省は民間企業の監督官庁であった。農林省でも、通産省でも、厚生省でも、どこでもいい。●蔵書松本清張全集 6 球形の荒野・死の枝:「小説新潮」1967年(昭和42年)11月号
〔小説新潮〕
1967年(昭和42年)11月号



魚住一郎は中央官庁の或る課長だった。彼の省は民間企業の監督官庁であった。農林省でも、通産省でも、厚生省でも、どこでもいい。要するに企業に対して権力を持つと同時に特定業者の利益をも図れるという権利省であった。課長の魚住はしばしば地方に出張する。行政指導のためには遠路を厭わず回った。この出張は中央の役人にとってこたえられない醍醐味をもっていた。まず、彼はどこに行っても土地の工場や支店、出張所の幹部連によって下にもおかない取扱をうける。工場視察は東京の出発前からスケジュールが決まっているので、それに従って視て回ればよろしい。あまり細かいことを云うと、業者から好感を持たれないだけでなく、意外な方からクレームがつく。あの課長は好ましくないという指示が雲の間から洩れてくるのである。
この書き出しで、『ペルシアの測天儀』(死の枝:第七話)を思い出した。
魚住一郎の所属官庁を、「農林省でも、通産省でも厚生省でも、どこでもいい」と、書いている。
特定業者の利益を左右することの出来る、権力のある省庁ならどこでも良いのだ。筋立てに関係ないと言うことだろう。
汚職事件の匂いがプンプンの書き出してある。
五、六〇年前の話であるが今でも少しも変わっていないのだろう。

魚住一郎の転落人生が垣間見える。
接待しやすい官僚か?



奇しくも(2021年2月5日)の話
武田良太総務相は5日の閣議後記者会見で、総務省幹部4人が衛星放送関連会社に勤める菅義偉首相の長男から接待を受け、
タクシーチケットなどを受け取ったとの疑惑に関し、「国民の疑念を招く事態に至ったことについては深くおわびしたい」と陳謝した。
その上で、「速やかに事実関係を確定し、しかるべき対応を行いたい」と述べた。

世間ではこんなことも囁かれる。
●GoToTravelキャンペーン
旅行代金の一部を日本政府がほじょしていくれるというもの。
勿論、給付金と同じように役所に申請しなければならない。
観光庁  GoToトラベル事業
 なぜ、日本政府は感染者が増加しいている中、このキャンペーンを急いでいるのか?
また、なぜ旅行業界だけなのか?苦しんでいるのは、旅行業界だけではないのにと思った人も多いだろう。
 多分、その答えは、「全国旅行業協会」の会長が二階俊博だからだと思う。