研究室_蛇足的研究

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2019年9月21日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_099

 


研究発表=No 099

【顔】
 〔小説新潮:1956年(昭和31年)8月号〕

井野良吉の日記         −−日。今日、舞台稽古のあとで、幹部ばかりが残って何か相談をしていた。先に帰りかけると、Aと一緒になった。五反田の駅まで話ながら歩いた。「何を相談しているか知っているか」とAはぼくに云った。●蔵書【松本清張全集 36 地方紙を買う女・短編2】:小説新潮:連載1956年(昭和31年)8月号

井野良吉の日記                              −−日。今日、舞台稽古のあとで、幹部ばかりが残って何か相談をしていた。先に帰りかけると、Aと一緒になった。五反田の駅まで話ながら歩いた。「何を相談しているか知っているか」とAはぼくに云った。「知らない」「教えてやろう」と彼は話し出した。「今度、△△映画会社から、うちの劇団に映画出演の交渉があったんだ。例の巨匠族石井監督の新しい作品で、達者な傍役をうちの劇団から三、四人欲しいというのだ。マネージャーのYさんがこの間から映画会社に行ったり来たりして、忙しそうにしていたよ」「へえ、知らなかったな。それで、やるのかい?」とぼくは訊いた。「やるよ、勿論。劇団だって苦しいもの。ずっと赤字つづきだからな。Yさんの肝では、今度だけでなく、ずっと契約したらしい。先方さえよかったらね」 

井野良吉は、劇団員らしい。登場人物はアルファベットで登場、だが、映画監督は巨匠
らしく(巨匠族?)石井監督。
A、井野良吉はの同僚。
Y、劇団のマネージャー。

劇団は五反田駅の近くにあるようだ。
当時(作品は1956年)の五反田は今ほど開けていなかったと思う。
今でこそ風俗店も多くあるが、山手線の西の外れ、道路は、第二京浜(国道1号)、中原街道。
山手通、少し離れて第一京浜(国道15号)、目黒通り。
電車は、JR(当時は国鉄、山手線)、東急の池上線、近くは目黒から目蒲線。地下鉄もある。
交通の要所でもある。

全く先が読めないので、参考までに地図を添付する。