研究室_蛇足的研究

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2019年1月21日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_090

 絢爛たる流離:第五話雨の二階


研究発表=No 090

絢爛たる流離雨の二階
 〔婦人公論:1963年(昭和38年)5月号〕

終戦時、畑野寛治は軍需省の雇員であった。西部軍司令部管下の仕事をしているため、福岡に駐在していた。畑野の場合は運転手だった。 【絢爛たる流離:雨の二階】蔵書:松本清張全集 2 眼の壁・絢爛たる流離:婦人公論 1963年(昭和38年)5月号

終戦時、畑野寛治は軍需省の雇員であった。西部軍司令部管下の仕事をしているため、福岡に駐在していた。畑野の場合は運転手だった。彼は絶えずトラックを運転して軍需物資の運搬に走り回っていた。管下では、司令部のある福岡をはじめ、小倉、久留米、佐賀などの連隊があり、さらに板付、大刀洗などの航空隊があった。これらの諸隊に補給される物品は、軍用貨物で送られて来るものを軍司令部が軍需部に連絡し、積下し駅で受領して、各隊に回すのである。畑野は、そういう貨車が到着するたびに、福岡市外の軍需省特別倉庫との間をトラックで往復した。当時、三十三歳であった。二十二歳から六年間、自動車隊として転職したことがあるが、除隊となったとき、二度と兵隊にとられたくないため、いち早く軍需省の雇員となったのである。彼の性質が明朗だった上、小才が利くので、上官から可愛がられていた。

前作から1年程度経過か? 前作は終戦間際で、朝鮮からの脱出劇。
今作は、終戦時。
軍需省の雇員畑野寛治が主役のようだ。
彼の性質が明朗だった上、小才が利くので、上官から可愛がられていた。
軍需物資の隠匿など、畑野寛治の悪行が予見される。先入観からの憶測であるが。


●軍需省
軍需省(ぐんじゅしょう)は、太平洋戦争期に設置された日本の行政機関の一つ。
戦時の軍需産業強化の必要性のため、1943年(昭和18年)11月1日、勅令第824号「軍需省官制」に基づき、
商工省の大半と企画院の国家総動員部門を統合して設置された省。
戦後の進駐軍上陸を目前としていた1945年8月26日、椎名悦三郎次官らの指導によって商工省に復帰した。

突然だが、小説の書き始めと書き終わりまでの期間に興味がわいてきた。
【絢爛たる流離】は、一話の「土俗玩具」が戦中に始まり、四話の「走路」で終戦間際。
シリーズ作品でもあり、かなり長期になっている。
作品によっては、数時間の出来事の場合もあるだろう。興味津々。