研究室_蛇足的研究

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2017年5月21日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_078

 【小説 3億円事件「米国保険会社内調査報告書」


研究発表=No 078

小説 3億円事件「米国保険会社内調査報告書」 〔週刊朝日 1975年12月5日・12日号〕

東京  G・セーヤーズ発。 1975年12月10日 本日午前0時をもって、1968年(昭和43年)12月10日午前9時20分東京郊外で発生せる294,307,500円の盗難事件の時効は成立した。【水の肌:小説 3億円事件者】より

ニューヨーク。−−−                                スミス火災海上保険株式会社査定部(クレーム・デパートメント)。        H・S・スチムスン部長宛。    東京  G・セーヤーズ発。 1975年12月10日 本日午前0時をもって、1968年(昭和43年)12月10日午前9時20分東京郊外で発生せる294,307,500円の盗難事件の時効は成立した。東京の各紙朝刊は一斉にフロントページに大見出しをつけてこれを報じ、社会面は2ページにわたってその事件の回顧を揚げているが、日本人の大半は、たいそう出来のよいミステリアスなドラマが予定の時間に終了したベルの鳴り渡る音を聞く思いで、衝撃のかわりに感慨に耽っている。セーヤーズ私立探偵事務所長である私が、貴社よりこの世紀的な巨額の強奪事件−−−日本人の言う「三億円事件」の調査依頼を正式に受けたのは約一年半前であって、貴社はこの事件が当時すでに解決に至らないことを予想されていた。すなわち、日本火災海上保険会社はその加入契約によって日本信託銀行に支払った被害金額約3億円を国内20社の保険会社に再保険をなし、これを日本側はさらに貴社をはじめアメリカの保険会社数社に再保険をなしていたため、アメリカ側は約50ドル(注、3億円は当時の円交換レートで約83万ドルだが、再保険を分担した外国保険会社の負担額はその2/3だった)を損失し、よって貴社がアメリカ各保険会社を代表して事件の独自調査をスチスムスン査定部長の名でセーヤーズ私立探偵事務所に依頼されたものである。

                   研究

事件は「三億円事件」。だがタイトルは小説と銘打っている。
保険会社の依頼を受けた私立探偵事務所が依頼主(保険会社)へ宛てた調査報告書の形態を取っているようだ。

日本人の言う「三億円事件」の調査依頼を正式に受けたのは約一年半前であって、
貴社はこの事件が当時すでに解決に至らないことを予想されていた。すなわち、
日本火災海上保険会社はその加入契約によって日本信託銀行に支払った被害金額
約3億円を国内20社の保険会社に再保険をなし、これを日本側はさらに
貴社をはじめアメリカの保険会社数社に再保険をなしていたため、
アメリカ側は約50ドル(注、3億円は当時の円交換レートで約83万ドルだが、
再保険を分担した外国保険会社の負担額はその2/3だった)を損失し、.....

小説なのだが、上記の部分は多少なりとも事実に近いのだろうか?

「三億円事件」を題材にした小説は数多くある。その一部を...小説以外も含むかも?
『小説三億円事件』 佐野洋
『名探偵なんか怖くない』 西村京太郎
『ただいま浪人』 遠藤周作
『時効成立―全完結』 清水一行
『白バイと紅薔薇』大下英治
『父と子の炎』 小林久三
『小説・三億円事件』 斎藤栄
『閃光』永瀬隼介

読み比べることにより真実を知る手掛かりを得ることが出来るのか、迷宮の闇
に入り込むことになるのか?
残念ながら、私は清張以外の作品は読んでいない。


参考:ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%84%84%E5%86%86%E4%BA%8B%E...