研究室_蛇足的研究

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2014年11月9日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_063

 【剥製


研究発表=No 063

【剥製】 〔中央公論 文藝特集号〕 1959年1月号

鳥寄せの名人がF市に居るから写真班を連れて、子供向きの読物記事にしてくれないか、と芦沢が次長から頼まれたのは、十月の終わりごろであった。(株)文藝春秋『松本清張全集37』 装飾評伝・短編3 初版1973/07/20より

鳥寄せの名人がF市に居るから写真班を連れて、子供向きの読物記事にしてくれないか、と芦沢が次長から頼まれたのは、十月の終わりごろであった。芦田は、そのとき、新聞社の出版局にいて、小学生や中学生むきの雑誌の編集部に属していた。鳥寄せというのは、どのようなことをするのか芦田は知らなかった。「口笛を吹くような恰好で、野鳥の啼き真似をして同類をあつめるだろう」次長もよく知らないらしかった。「なにしろ名人らしい。その男が呼ぶと、付近の空を飛んでいるあらゆる鳥が集まって、その辺の木の枝にとまるそうだ。知らせてくれた者がそう云っている。面白そうだからグラビアで出したい。君は、その苦心談といったようなものを聞いて記事にしてくれ」住所と名前を書いたメモを渡してくれた。F市というのは武蔵野のはずれにある東京の衛星都市だが、競馬場で有名だった。名人の名前は、塚原太一だと鉛筆の大きな字で教えられた。

                   研究

F市は、府中市であろう。武蔵野のはずれで、東京の衛星都市。競馬場で有名。
鳥寄せの名人は、「塚原太一」。
子供向きの読物記事の取材で新聞社の出版局(雑誌の編集部)に属する芦田
取材に向かう芦田とカメラマンが鳥寄せの名人に会いに行く
鳥寄せが話の中心なのか書き出しではさっぱり分からない。
淡々とした書き出しは、「名人の名前は、塚原太一だと鉛筆の大きな字で教えられた。」と、続く
鉛筆の大きな字が妙に印象的である。