研究室_蛇足的研究

紹介作品・研究室の倉庫

2009年02月21日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_042

 【疑惑


研究発表=No 042

【疑惑】 〔オール讀物〕 1982年2月号

十月の初めであった。北陸の秋は早くくるが、紅葉まではまだ間がある。。...◎蔵書◎疑惑 (株)文藝春秋●1982/03/30/初版より

十月の初めであった。北陸の秋は早くくるが、紅葉まではまだ間がある。越中と信濃とを分ける立山連峰のいちばん高い山頂に新しい雪がひろがっているのをT市から見ることができた。T市は県庁の所在地である。北陸日日新聞の社会部記者秋谷茂一は、私立総合病院に入院している親戚に者を見舞ったあと、五階の病棟からエレベーターで降りた。一階は広いロビーで、受付や薬局の窓口があり、長椅子が夥しくならぶ待合室になっていた。そこには薬をうけとる外来患者がいつもいっぱいに腰をかけていた。名前を呼ばれるまでの無聊の時間を、横に据えつけたテレビを見たりしていた。ロビーから玄関の出口に歩きかけた秋谷の太い黒縁眼鏡の奥にある瞳が、その待合室の長椅子の中ほどにいる白髪の頭にとまった。頸が長く、痩せた肩が特徴で、後ろから見ても弁護士の原山正雄とわかった。原山はうなだれて本を読んでいた。

                  研究

北陸の秋、まだ紅葉まで間があるので10月中旬?。県庁所在地のT市とは富山市か?
病院のロービーを一瞥するような描写。薬を受け取る為の待ち時間、「無聊の時間」
新聞記者秋谷茂一、太い黒縁眼鏡。弁護士原山正雄、頸が長く、痩せた肩。
うなだれて本を読む原山。
病院の待合室にいる原山は病気なのだろうか?
秋谷と原山の関係は?
「無聊の時間」が動き出しそうになる。
新聞記者秋谷茂一の次の行動が物語の展開を予感させる。


●【無聊】(ブリョウ)
退屈なこと。心が楽しまないこと。気が晴れないこと。また、そのさま。