研究室_蛇足的研究

紹介作品・研究室の倉庫

2007年2月12日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_033

 【葦の浮船


研究発表=No 033

【葦の浮船】1966年1月〜1967年4月 〔婦人倶楽部〕

今年の総合歴史学会の当番校は金沢の大学であった。三月十七日から二日間だったが、北陸の春はまだ浅い。......◎蔵書◎葦の浮船(角川文庫)(株)角川書店●1976/01/30/5版より

今年の総合歴史学会の当番校は金沢の大学であった。三月十七日から二日間だったが、北陸の春はまだ浅い。雪は解けていたが、風は寒かった。大学の講堂に二百八十名集まるので、講堂に座っていると人いきれであたたかいが、外に出ると底冷えがする。「こういう学会もますますつまらなくなってくるね」折戸二郎は、講堂から吐き出された人々にまじって廊下を歩きながら小関久雄に言った。折戸も小関も東京の同じ大学の助教授で、折戸は国史科の上代史、小関は中世史を専攻している。集まってきている教師も北海道から九州まで全国の大学の教授、助教授、講師たちであった。二人は同僚だが、折戸が小関より二つ上の三十六歳だった。小関久雄はまだ独身である。

研究

長編である。
書き出しでの登場人物は二人。折戸二郎と小関久男。
二人は大学の助教授、上下関係は折戸が二つ年上、小関は独身。
独身が上下関係に影響するとは思えないが、小関に気楽さを感じる。

>「こういう学会もますますつまらなくなってくるね」

の、折戸の発言から学会や大学批判がうかがえる。今後の展開にも関連がありそうだ。
「葦の浮船」の「葦」は、「人間は考える葦である」の「アシ」である。
「人間はひとくきの葦にすぎない。 自然の中で. 最も弱いものである。 だが、それは考える葦で ...
題は抽象的で、意味深である。、『波の塔』や『水の炎』と同じではなさそうだが
場所は金沢。...具体的には何も想像できない。やっぱり長編は出だしがゆっくりで、展開が読めない。