研究室_蛇足的研究

紹介作品・研究室の倉庫

2005年6月05日

「清張」作品の書き出し300文字前後で独善的研究!。


研究作品 No_025

 【紅い白描


研究発表=No 025

【紅い白描】1961年7月〜1961年12月「マドモアゼル」

原野葉子は、その年の春、××美術大学図案科を卒業した。図案科は服飾デザインと商業美術とに分かれている。葉子は商業美術のほうだった。......◎蔵書◎紅い白猫●(株)角川書店●1993/07/20(12版)より

原野葉子は、その年の春、××美術大学図案科を卒業した。図案科は服飾デザインと商業美術とに分かれている。葉子は商業美術のほうだった。卒業制作には、観光と、機械製品と、化粧品をテーマにした三つのポスターを描いたが、どれも評判が良く、主任の矢田部教授から賞められた。「原野君は、デパートに入るかね?それとも、独立したデザイナーになるかね?」矢田部教授は卒業後の方針を訊いた。原野葉子は、将来、自分で独立してやってみたかった。しかし、学校だけの経験ではやはり心許ない。彼女は、デパートよりも、自家経営を遣っているデザイナーのところにしばらく働きたかった。ある程度、そこで経験を積んでおきたいのだ。デザイナーの世界では、ただ絵が立派だけでは通らない。スポンサーとの間の談合や、取引の仕方も見習っておかねばならなかった。

研究

比較的初期の長編作品である。内容に入る前に、題名が「アカイハクビョウ」として登録したが「アカイシロネコ」でいいのかも知れない。

主人公であろう、原野葉子の説明が書き出しのすべてである。優秀なデザイナーの卵である説明はあるが、性格的な説明はない。登場人物は矢田部教授だけであるが、葉子が勤めるであろう自家経営のデザイナーが登場しそうだ。長編だけに、これだけの書き出しでは、研究材料としては少なすぎる。