少し先が読めた。
砂の器の映画のシーンである。伊勢?の映画館に殺された三木巡査が2日連続で訪れる。なぜ訪れたのか刑事が捜索する、映画の内容に関係有るのか...
歌舞伎座で休憩中にテレビを見ていた市長。態度が急変する。
いぶかる秘書に話を付けて、志摩川温泉に行く市長。
二日間の約束が過ぎ、「市長が雲がくれ」と書く地元紙。
六日目に、「田山市長は、当地の志摩川に顛落して急死された」 市役所に電報が届く。
市議会議長と議員1人(笠木議員)、秘書、市長の実弟が死体を引き取りに向かう。
地元の警察に案内される一行
市長が泊まった旅館は「臨碧楼」。宿泊時の状況を説明する宿の主人。
案内した地元警察の警部補は「市長さんは、ここから過って落ちられたのです」と説明する。
疑問を持つ議員。笠木議員は議長に市長の志摩川温泉行きを知りたいと迫る。
消極的な議長に、市長の日記を弟から見せてもらうことに同意を求める。
日記から市長の女関係が浮かび上がる。木石ではなかった市長。
終戦間際の朝鮮での出来事である。女中頭芳子の名前が登場する。
「副官山下中尉をして内地へ密航脱出せしむ、渠は木浦より朝鮮漁船を買収して出航せるものの如し。
託するに司令部の官金八万円と芳子を以てす。官金は福岡西部軍司令部へ、芳子はは郷里の佐賀県神崎
町の実家へ送致せしむよう命ず」
早い話し、官金と女(芳子)を護送させたのである。
日記は細々とその後を誌している。
「不可解なり、予は山下中尉の人物を信用せり。渡航の途中にて不測の難に遭遇せし乎」
佐賀の芳子の実家を訪ねた田山(市長)は山下の裏切りを知る。金と女を奪って遁走したのである。
山下と芳子を追う、市長の執念は芳子を見つけた。
初めに戻ることになる。歌舞伎座で観劇の合間の休憩室のテレビである。
宿屋の主人は黒崎(釣り人)へ疑惑を向けようとする。市長の死は事故死ではなく他殺として話は展開する。
笠木の疑問は一気に解決する。旅先から市議会議長に送る手紙はすべてを語っていた。
宿屋での市長の不可解な態度、説明する宿の主人。黒崎なる釣り師の存在を強調する
廊下ですれ違う外股で足を引きずるように歩く女。芳子である。
山下こそ「臨碧楼」の主人浜岡繁雄であり、田山市長を突き落とした犯人であった
NHKのニュース映画を何度も見る笠木は映画「砂の器」の刑事今西栄太郎を彷彿とさせる。
その意味で仕掛けとしての「休憩室のテレビ」は物足りない。
しかし、発表年月日は「砂の器」1960年(昭和35年)5月17日〜1961年(昭和36年)4月20日
「市長死す」は1956年(昭和31年)10月号。「市長死す」の方が古い。
※砂の器は映画館の中にあった写真が手がかりであった。
2010年12月7日 記
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