今月の紹介作品  【神と野獣の日


 

紹介No 001

【神と野獣の日】1963年 「女性自身」

早春の暖かい日である。ある広告代理業の社員が、日比谷公園横の祝田橋に車でさしかかって、信号待ちの停車をしていた。......◎蔵書◎「神と野獣の日」角川文庫1975年1月30日(5版)より

清張の作品では珍しい(唯一?)SFである。いま、はやりのSFパニックものである。

1960年代に書かれた作品であるが、けして、陳腐化していない。

いま、映画化されても、おもしろそうな作品である。

或る国から数発の核ミサイルが誤って発射された。

状況が深刻になるに連れて右往左往する権力者達。

庶民の動き、主人公の恋人である二人のとる行動、現代でも十分つうよする、

エンターメントな内容である。

掲載が「女性自身」のせいか、恋人の二人が再会して、二人で結婚式をする場面には

清張のサービス精神が発揮されている。私には少々鼻につく。

恐怖から解放されたつかの間の喜びのあとに来る、誰も気がつかない、悲劇的最後。

最後の数行は、やっぱり清張だ!

2001年01月16日 記

登場人物

戸上 佐知子 G工業 の事務員。社員は50名ばかり。木村規久夫の恋人。
木村 規久夫 戸上佐知子の恋人

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