題名 | 私の中の日本人−−松本峯太郎・タニ−− |
読み | ワタシンアカノニホンジン |
原題/改題/副題/備考 | |
本の題名 | グルノーブルの吹奏■【蔵書No0204】 |
出版社 | (株)新日本出版社 |
本のサイズ | 新書(KAPPANOVELS) |
初版&購入版.年月日 | 1992/11/15●初版 |
価格 | 1800/古本830=(800+送料340) |
発表雑誌/発表場所 | 「波」 |
作品発表 年月日 | 1975年(昭和50年)2月号 |
コードNo | 19750200-00000000 |
書き出し | 私の中の日本人というと、やはり私には父と母とが身体の中に居る。歴史上の人物とか交友関係で尊敬する人がいないでもないが、「私の中」というとどれもズレてくる。私という人間はいいにつけ悪いにつけ両親の部分をひきつでいる。父は、一口にいって、のん気な性分であった。明るくて、饒舌で、弱気な好人物だった。母は苦労性で、心配性で、そして強気なひとだった。私の眼は父親似だが、鼻と口は母親似である。このごろ厚い下唇がだんだん前に突き出てきたが、これは晩年の母親とそっくりになった。父は、餅屋、相場師、貸金の取立て役、飲食店、屋台店、魚の行商と職業を変えていった。みんな成功しなかったが、相場師と貸金の取立てを除けば、母はすべて父の仕事に付き合った。苦情を云い、喧嘩をし、先々のことを心配しながら、地道に後押しをし、いつのまにか父を引張っていった。 |
作品分類 | エッセイ |
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