松本清張_与えられた生

題名 与えられた生
読み アタエラレタセイ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 虚線の下絵【蔵書No0139】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ 文庫(文春文庫)
初版&購入版.年月日 1979/08/25●初版
価格 260/古本 130(税5%込み)
発表雑誌/発表場所 「文藝春秋」
作品発表 年月日 1969年(昭和44年)7月
コードNo 19690700-00000000
書き出し 桑木は三ヵ月ほど前に、内臓外科専門のA病院で胃癌の切除手術を受けた。その以前、ほとんどの癌患者がそうであるように桑木も自覚症状がなかった。何となく痩せてきて、顔色も悪くなったのが半年前からである。日本画家である彼は、秋の展覧会に出す大きな作品を春から夏にかけて三つほど制作したので、その疲れのせいだと思っていた。ことに今年の夏は暑さがひどくて身体にこたえた。今まではこういうことはなかったが、四十をこすと無理ができなくなるのかなと思った。が、それよりもここ二,三年の間に画壇で認められるようになってから意識して大きな作品をつづけさまに描いてきたので、その疲労がつもったのだと考えていた。日本画といっても彼の描くのは洋画と同じように百号くらいの大きさに岩絵具を押しつけてゆく作業で、しかも、洋画と違い、日本画の繊細な線を生かして描くから、体力も精神力も消耗する。
作品分類 小説(短編) 78P×580=45240
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