松本清張_象の白い脚(改題)

(原題=象と蟻)

題名 象の白い脚
読み ゾウノシロイアシ
原題/改題/副題/備考 (原題=象と蟻)
本の題名 松本清張全集 22 屈折回路・象の白い脚【蔵書No0103】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1973/8/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「別冊文藝春秋」
作品発表 年月日 1969年(昭和44年)8月号〜1970年(昭和45年)8月号
コードNo 19690800-19700800
書き出し エア・ラオス機、約四十人乗りのDC3.。ほとんど満席で、空席は二つか三つしかない。谷口爾郎の隣には、栗色の縮れ毛をしたアメリカ人の男が座っていた。バンコック空港をとび立つと、すぐにペーパーバックを読みはじめたのだが、黒い半袖シャツからむき出した頸と腕は年配に似ず太かった。大型金指輪が三つも光る指に握りこまれた小型本は、さんざん折り曲げられてくたくたになっていた。谷口がちらりと眼を走らせたところでは、会話と改行が多く、通俗小説かハードボイルドと見当をつけた。アメリカ人は座ったときから谷口を無視していた。バンコックをはなれてからは平原の風景がつづいていた。雲の下に消えても、また、切れ間や薄くなったところから森が現れた。が、そこはもう山地になっていた。黄土色の原生林は、上から見るぶんにはそれほど深いジャングルとは思えなかった。機は低いところを飛んでいる。山の中に一筋の道が見えてたりしたが、人家らしいものはなかった。一九六九年三月二日であった。
作品分類 小説(長編) 184P×1000=184000
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