松本清張_セント・アンドリュースの事件(改題)

(原題=セント・アンドリュースの殺人)

題名 セント・アンドリュースの事件
読み セント・アンドリュースノジケン
原題/改題/副題/備考 (原題=セント・アンドリュースの殺人)
本の題名 松本清張全集 13 黒い福音 アムステルダム運河殺人事件・セントアンドリュースの事件【蔵書No0091】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1972/02/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「週刊朝日カラー別冊V」
作品発表 年月日 1969年(昭和44年)10月号
コードNo 19690400-00000000
書き出し 最初の約束は、七月半ば、箱根の仙石原で出来た。たいていの口約束がそうであるように、それはまだ曖昧な段階だった。「十月ごろにヨーロッパをひと月ほど回ってくることになりそうだ。ロンドンにも寄る。そのときは、ぜひセント・アンドリュースに行ってくるよ」矢部開作はゴルフ・ハウスのテラスに座って大きな声でいった。近くのテーブルにいた客が聞きつけて、三人を見返った。四十を越した男ばかりだが、発言者がいちばん年長である。窓ぎわだが、絞ったカーテンの傍らだったので日焦けした顔がよけいに暗く、笑っている歯だけが目立った。あとの二人は窓から光線をまともに受けて人相を晒していた。ビールをのせたテーブルをめぐって、矢部開作の真向かいが額の禿げ上がった楕円形の顔、その二人の間にはさまって窓の正面の光を受けているのが眉の濃い長い顔だった。
作品分類 小説(中編) 49P×1000=49000
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