松本清張_礼遇の資格

題名 礼遇の資格
読み レイグウノシカク
原題/改題/副題/備考  
本の題名 巨人の磯)【蔵書No0031】
出版社 (株)新潮社
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1973/07/20●4版1974/09/30
価格 700
発表雑誌/発表場所 「小説新潮」
作品発表 年月日 1972年(昭和47年)2月号
コードNo 19720200-00000000
書き出し 銀行協議会副会長原島栄四郎は、人目をひくような風貌ではなかった。丈が小さく、肩が落ち、顔も身体もなみの男よりひとまわり細かった。面相も決して威厳があるとはいえない。薄い眉、リスのような眼、ちんまりとした鼻、しまりのない口もと、貧弱な顎。こうした特徴だけでも原島栄四郎の見栄えのしない肖像を誰もが類推できる。彼の歩いてきた経歴の「不運」をいうとき、その理由の一つに彼の押出しの足りなさを挙げる人がある。彼は大学を出ると一流の市中銀行にすぐ就職し、以来順調なコースを歩み、副頭取までになった。業務手腕は充分だったのである。が、どうしても頭取になることはできなかった。何度となく昇格の下馬評にあげられながら、結局、何期か後輩が頭取になって、その銀行を辞め、国立の国際協力銀行の副総裁に就任した。
作品分類 小説(短編) 41P×580=23780
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