「松本清張の蛇足的研究」のTOPページへ

松本清張_影の車 第四話 潜在光景

(株)文藝春秋=松本清張全集11971/04/20):【影の車】第一話〕

NO_007

題名 影の車 第四話 潜在光景
読み カゲノクルマ ダイ4ワ センザイコウケイ
原題/改題/副題/備考 【重複】〔(株)新潮社=共犯者(新潮文庫)〕
【重複】〔(株)角川書店=潜在光景(角川ホラー文庫)〕
●シリーズ名=影の車
●全8話
1.確証
2.万葉翡翠
3.
薄化粧の男
4.潜在光景〔(株)文藝春秋=松本清張全集1〕
  潜在光景〔(株)新潮社=共犯者〕
5.典雅な姉弟〔(株)文藝春秋=松本清張全集1〕
  
典雅な姉弟〔(株)新潮社=共犯者〕
6.田舎医師
7.
鉢植えを買う女
8.
突風
●全集(7話)
1.潜在光景
2.典雅な姉弟
3.
万葉翡翠
4.
鉢植えを買う女
5.
薄化粧の男
6.
確証
7.
田舎医師



※「
突風」が未収録
本の題名 松本清張全集 1 点と線・時間の習俗【蔵書No0022】 映画
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1971/04/20●初版
価格 800
発表雑誌/発表場所 「婦人公論」
作品発表 年月日 1961年(昭和36年)4月号
コードNo 19610400-00000000
書き出し 私が小磯泰子と二十年ぶりに再会したのは、帰宅途中のバスの中だった。私の家は、都心から国電で三十分ばかり乗り、私鉄に乗り換えて二十分かかる。それからバスで三十分もかかるという、ひどく辺鄙なところだった。七,八年前は麦畠だったのが、今ではすっかり住宅地になっている。バスも二年前からやっと開通するようになった。その日は会社からの帰りだから、多分、七時ごろであったと思う。私が吊り革にぶら下っていると、すぐ隣にいた三十四,五ぐらいの女が、何かの拍子にこちらを向き、びっくりしたような声をあげた。「あら、あなたは、浜島さんじゃありませんか?」その女は、こざっぱりしたワンピースを着て、手に小さな鞄を抱えていた。夏の初めのことである。私は、自分の名前を云われたが、すぐ、彼女が誰か分からなかった。先方では、懐かしそうな眼をしてにこにこ笑っていた。
あらすじ感想 登場人物は少ない。わたし「浜島」。20ぶりにバスの中で再会した「小磯泰子」。その子「健一」。

わたしの記憶の中に登場する、父の兄である「伯父」、そして、「母」。

わたし「浜島」が小磯泰子と男女の仲になるまでは清張小説に割合よく出てくるパターンである。

郊外の辺鄙なところにすむ泰子の家に頻繁に出入りするようになる。健一の存在が気になり出す。

誰もが取るであろう行動に出る。健一を手懐けようとする。しかし、健一は、浜島の子供の頃を

思い出させるだけであまり懐かない。浜島の記憶が、父亡き後の母と伯父の仲に及ぶと結末を

想像させられる。それは、まさに健一が浜島をどう見ているかにつながるからだ。

健一の行動は、浜島の「潜在光景」と重なり、次第に恐怖となる。出刃包丁、毒饅頭、鉈は具体的

恐怖として登場する。ついに、6歳の健一が一人の凶器を持った男として浜島を襲う、

そう、浜島は思う

それは、本当に健一が殺意を持って襲ったの不明である。

清張は健一の行為を健一の行動として描いていない。

浜島の「潜在光景」からくる恐怖として描いている。

極限の恐怖から、感情に逆上した浜島は健一の首しめる。殺人未遂で捕らえられる。

彼は取り調べの中で6歳の健一の殺意を証明しなければならない。

その証明は、浜島の「潜在光景」がすべてである。彼は「伯父」を殺したからだ。

殺意を持って、かつて「健一」であった浜島が、今「浜島」である「伯父」を殺した。

殺意の目覚めは何歳くらいだろう。

ある動機を持って人は人を殺そうとするのは何歳くらいなのだろうか?


2002年01月06日 記
作品分類 小説(短編/シリーズ) 20P×1000=20000
検索キーワード 記憶・男出入り・殺意・子持ち・未亡人・出刃包丁・毒饅頭・伯父・殺人未遂
登場人物
浜島 36歳。「わたし」として登場、妻と2人暮らし。
小磯 泰子 35歳?。仕事は保険の集金。・夫と死別、6歳の男の子と2人暮らし
小磯 健一 6歳。小磯泰子の子

潜在光景