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松本清張_たづたづし

NO_006

題名 たづたづし
読み タヅタヅシ
原題/改題/副題/備考 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集38〕
本の題名 眼の気流【蔵書No0054】
出版社 (株)新潮社
本のサイズ 文庫(新潮文庫)
初版&購入版.年月日 1976/02/20●6版1976/10/30
価格 240
発表雑誌/発表場所 「小説新潮」
作品発表 年月日 1963年(昭和38年)5月号
コードNo 19630500-00000000
書き出し 夕闇は路たづたづし月待ちて行かせわが背子その間にも見む(七〇九)この歌は奇妙にわたしの頭に印象を刻んでいる。別に万葉集や和歌に興味があるのではない。たまたま本屋に寄って万葉集の本を開いたとき、偶然、この歌が眼にふれて頭に残ったのだ。そのときも、どのような心理で本棚に並べてある万葉集を手に取ったかよく分からない。それも東京ではなく、信州諏訪の本屋だった。妙な土地で見たものだ。この歌の意は、「月が出るまでの暗がりの路は、たどたどしくてわかりにくいものです。あなた、どうか月が出るまで待って、その上でお出かけ下さい。その間にもあなたのお側にいとうございます」というのであろう。なぜ、こんな歌がそのとき、わたしの頭に沁みこんだのだろうか。
あらすじ感想 わたしの記憶に沁み込んだ万葉集の一首はその内容を具体化して身に降りかかる。

わたしの愉しみは長くは続かなかった。通勤途上で知り合った女良子との密かな愉しみは、

良子の突然の告白で地獄に落とされる。

良子には恐喝傷害で服役中の夫がいる。出所の連絡が入る。

平凡でも順調な人生が闇に包まれる。

自分の身勝手から良子を殺す決意を固める。信州を舞台に殺人行が始まる。

殺したはずの良子が蘇る。記憶をなくして生きていたのだ。

わたしは、記憶喪失の良子に再会し再び殺害するつもりが

「新しい良子の魅力」に負けて女を捨てられなくなる。

突然失踪する良子。

仕事で来た信州の山中で、男と生活している良子を偶然発見する。

その男は出所した夫、しかも子供もいる。

記憶喪失はよく推理小説に使われる。あまり好きではない。

しかし、清張は記憶喪失の曖昧さを小説の結末に利用している。

良子はなぜ出所した夫と生活しているのか、子供は誰の子か、記憶は蘇っているのか

結末なき推理小説である。


2001年10月07日 記
作品分類 小説(短編) 45P×600=27000
検索キーワード 和歌・万葉集・本屋・信州諏訪・恐喝傷害・服役中・夫・記憶喪失・子供
登場人物
わたし 32歳。官庁で課長になったばかり。
平井 良子 24歳。わたしの愛人
平井良子の夫 恐喝傷害で服役中

たづたづし