松本清張_花実のない森(改題)

(原題=黄色い杜)

題名 花実のない森
読み カジツノナイモリ
原題/改題/副題/備考 (原題=黄色い杜)
本の題名 花実のない森【蔵書No0018】 映画
出版社 (株)光文社
本のサイズ 新書(KAPPANOVELS)
初版&購入版.年月日 1964/10/01●116版1975/10/20
価格 580
発表雑誌/発表場所 「婦人画報」
作品発表 年月日 1962年(昭和37年)9月号〜1963年(昭和38年)8月号
コードNo 19620900-19630800
書き出し 梅木隆介は所沢街道を田無の方面に走っていた。この小型乗用車は、去年の暮れのボーナスと今年の夏とを半分ずつ合わせて頭金にし、あとは、月賦払いで手に入れた。ここ数週間、日曜日ごとに念願のドライブに乗り回している。朝から秩父あたりまで行っての帰りだったが、癖で、同じ道を往復したくなかったから、川越を回って所沢から青梅街道に抜けて都内に入るつもりであった。残暑は厳しくても、夜の十時ともなるとアスファルトの熱気も冷めている。ことにいま走っているこのあたりは雑木林が多く、道の両側は高い並木になっていた。この付近ぐらい武蔵野の名残りをとどめているところはない。両側から欅が空を包むようにかぶさっている。日曜日はトラックも少ないし、思いきり飛ばすことができた。近くにゴルフ場などがあったりして、暗い防風林の中から漏れる農家の灯を見る以外、まばらな沿道の家も戸を閉めていた。
作品分類 小説(長編) 270P×540=145800
検索キーワード 所沢街道・名刺入れ・箱根・湯河原・伊東・岩国・有名デザイナー・ペンダント・青梅街道
【カバー】若くて活力に満ちていて、退屈している一人の青年が、愛車を駆っての道すがら、夏の夜の所沢街道で一組の男女を拾った。夫婦と名のる二人、しかし闇に匂うような美女とみにくく粗野な中年男の不思議なカップルに、青年の好奇心は燃えあがる。そして二人が去ったあとの車中には、万葉の古歌を彫った銀色のペンダントと、女の肌の香りとまざった”スキャンダル”の甘い香りが・・・・・・。